『コンサルタントの秘密』をオススメします


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1708文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
中小企業診断士になるには中小企業診断士試験に合格する必要があります。
この試験では7科目の学科試験からなる第1次試験と筆記試験および口述試験の第2次試験が行なわれ、中小企業診断士に必要な学識や応用力がテストされます。このため中小企業診断士には共通する知識のバックボーンがあり、ここが「取りあえず経営コンサルタントと名乗ってみました」な人との大きな違いです。もちろん経営コンサルタントの肩書きで立派な仕事をされている人もたくさんいますが、位置付けが違うのは間違いありません。
 
さて、企業を支援するときに必要なのは当然ながら知識だけではありません。企業の現状を正しく理解する力、新しいビジネスを考える力、制約条件の下で実現可能な施策をつくり出す力など、試験では求められない能力も必要になります。また、診断士として企業とどう向き合うのかがとても重要な要素です。
 
この「企業との向き合い方」について考えるときに役立つのが、今回紹介する『コンサルタントの秘密』(ジェラルド・M・ワインバーグ/共立出版)です。この本には、企業の中の人とどのように付き合えばいいか、どうやって問題解決に取り組めばよいかが、著者ワインバーグ自身の経験に基づきおもしろおかしく書かれています。試験に出るような「支援の技術」ではなく、実際に企業と接するときに必要な「支援の進め方」について書かれているところが特徴です。アメリカで30年近く前に発行された本なので日本の現状と合わないことも多いですが、この本の目玉となる数々の格言は今でも充分通じる普遍性を持っています
 
たとえば、こんな格言があります。

【コンサルタントの第一法則】
  依頼主がどういおうとも、問題は必ずある。

これは依頼主がなかなか問題の存在を認めないことを表しています。依頼主が問題があることを認めて、それをコンサルタントが解決してしまうと、自分で解決できない依頼主の無能さがバレてしまうからです。そして、自分の無能さがわかり不快な思いをするくらいなら、依頼主はコンサルタントに解決すべき問題を教えないということになります。ではどうすればいいのか。まず、相手が有能であることを充分に認めた上で、何か改善したいところがないか尋ねればいいとワインバーグは教えます。相手を傷つけないためには改善は10%程度に留めるのがいいそうです。
 
こんなのもあります。

【手柄の法則】
  誰の手柄になるかを気にしていたら、何も達成できない。

コンサルタントが協力したことにより問題が解決した場合、それをアピールしたくなるのは人情ですが、そんなことをしても何も生みません。依頼主が(例えばマーケティング部長が)自分の手柄にしたがるのならそうさせればいいのです。結果的に企業が今より良い状態になるのなら手柄は争わない方がいいということです。依頼主はコンサルタントに文句を言いつつ、それでもコンサルタントが居ると不思議と依頼主が問題を解決する。そんな状態が望ましいようです。
 

【ファーストフードのウソ】
  差なし、プラス差なし、プラス差なし、プラス差なし、プラス・・・は、
  いつかはっきりした差になる。

これはコンサルタントへの戒めであり、また企業への戒めでもあります。
前の日と「ほぼ同じ」ことを繰り返していても、少しずつ少しずつ手抜きをするようになり、いつかはまったく別物になってしまうということです。例えばレストランで料理の下ごしらえを少し雑に行なってもお客は気付かないので売上は減りません。次に、料理を煮こむ時間を少し短くしても同じことです。店員の身だしなみが多少乱れても同じでしょう。でも、それを繰り返すと、・・・。まあ、そういうことです。
 
『コンサルタントの秘密』ではこのような格言が100個近く紹介されています。中小企業診断士やコンサルタントでなくても役立つ内容が満載です。ここで取り上げた格言をひとつでもおもしろいと思った方には、ぜひオススメの一冊です。

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