ネット・バカに気を付けろ


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1316文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
数年前に『ネット・バカ』(ニコラス・G・カー/青土社)という本が出ました。
日々、インターネットに触れる生活をしていることで一つ一つの作業への集中力が落ち、人間の脳が変化していくというお話です。起きるのは飽くまで「変化」であって、それが良いか悪いかは別問題という書き方ですが、一読して印象に残るのはマイナスの影響ばかりです。この本を読めば、誰もが自分はネット・バカになってないだろうかと心配になるでしょう。
 
例えば同書には次のような部分があります。
 

ハイパーリンクは、われわれの注意を惹くようデザインされている。そのナヴィゲーション・ツールとしての有用性は、それが引き起こす注意散漫状態と切り離せない。

「ユーザーはウェブ上でどのように読んでいるのか?」 それに対する簡潔な答えはこうだった。「読んでいない」。

 
読んでいて辛くなるくらい図星を突かれますね。
自分の場合、何かを調べるために検索をして、そこでヒットしたページを読んでいても、ついつい関連リンクをクリックしたり、出てきた気になる単語を検索したりしてしまいます。結果的に何を調べていたのかわからない状態に陥ることも度々です。また、RSSを使って日に数百(数千?)のニュースタイトルを読み、興味あるニュースについては元記事を見てTwitterでコメントを付けていたりするのですが、ではニュースを「読んでいるのか?」と問われたら、「はい」とは答えられないように思います。少なくとも、以前新聞を読んでいたような読み方はしていません。最低限の情報だけを拾っている状態なのです。まあ、まさにネット・バカになっていると言っていいでしょう。
 

ネットの豊かさと引き換えにわれわれが手放したもの ー よほどのひねくれ者でない限り、この豊かさを拒否したりはできないだろう ー は、カープの言う「かつての直線的思考プロセス」である。

 
現在、我々の周りにはたくさんの情報があります。
これがネットの豊かさです。その代わりに失ったのが「直線的思考プロセス」で、上で書いた集中力の低下に当たります。どちらを優先するべきかは、人によって、時代によって違うでしょう。一概にどちらかがいいというようなものではありません。
 
ただ、最近感じるのはインターネット上を流れている情報の更なる質の低下です。誰もが簡単にインターネットを使って情報発信できるようになったため、その質はマチマチです。少し前までは工夫したキーワードで検索すれば価値ある情報に辿りつけたのですが、近ごろは中々うまくいきません。情報の全体量に占める有効な情報の比率は年々下がっているようです。
 
「少しでも多くの情報を集めるのことがよい」という価値観があります。情報がまだまだ足りなかったころ、この価値観は確たるものでした。「情報を制するものが・・・」の類です。しかし現状は違います。いかに収集する情報を減らして、それでも尚その中から価値を生み出すのか。これができる人が、これからの時代に生き残っていくように考えています。

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