企業経営はシステム思考で!


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1505文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
最近、流行の新しいビジネススキルを追うことより、基礎となる古い書物を読み直すことが楽しくなってきています。以前から、その時代にたまたまフィットしただけかもしれない新しいスキルには懐疑的で、長い歴史の荒波を乗り越えた(?)古めかしい理論を重視する傾向はありましたが、実際に頻繁に読み返すようになったのはここ数年のことです。今回取り上げる『一般システム思考入門』(ジェラルド・M・ワインバーグ/紀伊國屋書店)は、その中でも極め付けの一冊です。
 


『一般システム思考入門』はモノの見方を刺激する


『一般システム思考入門』は、一言であらわすならモノの見方についての本です。
この本では、固有の学問は経済学も物理学も芸術も一つのモノの見方に過ぎず、実際の世の中に存在する複雑な問題に対処するには視野が狭いと考えます。そして、一般システム思考は、全体を俯瞰するようなモノの見方をすることで、これら固有の学問を統合して実際の問題解決に役立たせることを目指します。
 
現実の問題に対処するために、さまざまな知識や経験を応用することは誰もが常日ごろ行なっていることでしょう。難しい本など読まなくても、固有学問だけでは役立たないことが多いのはわかっています。でも、それがために現実の問題への対処に悩みはつきものです。この本を読むと、その悩みの幾つかが解決され、それと同時にもっと深い幾つもの悩みを抱え込むことになります。しかし、モノの見方についての刺激に満ちた議論は、読んで損になるようなものではありません。何度も繰り返して読み、その都度新しい知見を得ることで、モノを考えるセンスが少しずつ向上していることが実感できるからです。
 


科学も統計も万能ではない


知見満載のこの本の中でも特に本質的な部分である、解析的なアプローチ、統計的なアプローチ、システム的なアプローチの違いについての議論を取り上げましょう。
 
ワインバーグ曰く、解析的(科学的)アプローチはモデル化等を通じた省略や単純化によって成立するものなので、現実にある複雑な問題には適していません。一方、統計的アプローチは複雑なものを扱えますが、ランダムを前提としているためその解は構造的ではありません。唯一、複雑で構造的なものを扱えるのがシステム的なアプローチだと考えます。
 
まあ、こう書くと難しいのですが、要は科学的アプローチも、統計的アプローチも万能ではないということです。向き不向きがあります。「そんなことはわかっている」と言うでしょうが、現実の複雑な問題に対して、科学や統計だけを振り回して失敗するというのはよくあることです。
 
「ビッグデータを使って統計的アプローチをすれば、現実の問題を解決できる」などというのも、統計万能の錯覚ではないでしょうか。分析のモデルに構造的なものを組み込んでいるようですが、数学的に考えた構造と現実の構造では複雑さが違います。このような問題も、3つのアプローチの違いを考えることで、自ずといろいろわかってくるように思っています。
 


システム思考で考えよう!


さて、実際の企業経営はまさに複雑怪奇なものです。科学的アプローチや統計的アプローチで敵う相手ではありません。システム思考で考えることが必要です。
 
システム思考は簡単なノウハウの形で身につけることができません。それでも、システム思考についての諸々を知ることはセンスを磨くのに役立ちます。
興味を持った方は、『一般システム思考入門』を一読してみてはいかがでしょうか。

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