「何をデータ化するか」から考えよう!


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1954文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
情報技術の進展により爆発的な量のデータが簡単に手に入るようになった現在、「データをいかに有効活用するか」が企業間競争の一つの争点となっています。特に、集めたデータから「より価値のある情報を導き出す方法」、すなわちデータマイニングやビッグデータなどのデータ分析技術が注目されているようです。
しかし、データ活用には見逃してはならないもっと大切なことがあります。
 


「何をデータ化するか」が出発点


データから価値ある情報をつくりたいのなら、その前に「何をデータ化するか」を考えることが重要です。いい加減なやり方でつくったデータや、解決したい課題にマッチしていないデータを出発点にしてしまったら、いくら高度なデータ分析を行なっても役立つ情報は出てこないからです。最近、この部分が欠けている議論が多いように思えてなりません。下図でいう「データ化」および「情報化」をしっかりわけて考え、「データ化」にもっと注力することが有益な情報を得るために必要だと考えます。
 

データ化と情報化

 
データを客観的な事実と捉える人がいます。そこに作為の入りようはないという考えです。確かに、正当な手続きを経て作成されたデータは客観的な事実に近いものです。しかし、いくら正しく作業をした客観的なデータだとしても、それは現実の一面しかあらわしていません。どの一面をデータ化するかの判断に主観が入っているのです。もちろん、主観が悪いというわけではありません。真に客観的なデータなど無いことを踏まえて、利用するデータを選ぶ際に慎重に価値あるデータを選んで欲しいのです。「何をデータ化するか」によって、データから導き出される情報の価値に差が付くのですから。
 


お客さまをどうやってグループ化するか


既存のお客さまをグループ化して、販売促進キャンペーンを行なう場合を考えてみます。
グループ化の基準として、例えば、性別や年齢などの属性情報、お客さま別の売上額や来店頻度などの購買履歴情報、アンケートで聞いたお店への忠誠度やクチコミ影響力などの行動特性情報が考えられます。どれもある程度は客観的なデータですが、どのデータをインプットとして使うかによって、出来あがるグループ(アウトプット)が変わるのは当然です。この場合、属性情報よりも購買履歴情報を、購買履歴情報よりも行動特性情報を元にキャンペーンを行なった方が成果は大きいと想像されます。
 
この例からも、目的に応じてどんなデータを集めるか/使うのかを考えることが重要だとおわかりいただけるのではないでしょうか。
 


データ化の3つの注意点


さて、どうやって慎重なデータ化をするかが問題になります。
しかし、これに正解はありません。ただ、以下の3点に注意することは間違いなく有効だと言えるでしょう。
 
 目の前にあるデータに飛びつかない 
誰もが陥る失敗は、既にあるデータからスタートしようとすることです。
データがあるのならそれを使いたくなるのは人情ですが、これをやってしまうと価値の低い情報しか出てこない可能性があります。やはり、自分が何をしたいかに合わせて、少し面倒でもデータを集める必要があるのです。
 
 データにしにくいものも取り込む 
現実に起きていることの中にも、データにしやすいものとデータにしにくいものがあります。上の例で言えば、お客さま別の売上額などは(会員カードさえあれば)比較的データ化しやすいものでしょう。一方で、お客さまの店への忠誠度などをデータ化するのは大変です。そうなると、ついつい売上額を使いたくなります。しかし、データにしにくいものでも自分の目的にあったものなら、どうにかデータにして用いるべきなのです。費用対効果の問題はありますが、この心掛けを忘れてはなりません。
 
 なるべく客観的になるようにする 
データを主観で選んでいいと言うと、自分に都合のいいデータばかりを集めることになりがちです。これは避けなければなりません。少しでも客観的になるよう、データを取捨選択する必要があります。
 


データ活用は意味付けが大事


最近のデータ活用についての議論は、データをどのように分析するかの技術論ばかりが中心で、そもそもどんなデータを使うのかの部分が弱いように見受けられます。特にソフトウェアメーカーやシステム会社の議論などがそうです。
 
しかし、データ活用で本当に大切なのは、元となるデータを間違えないことです。そのためには、一つ一つのデータの意味を考えることが必要になります。この点に注意して実りあるデータ活用を行なっていただければと考えます。

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