成功企業の何を真似すればいいのか


この記事の所要時間: 410秒 〜 510秒程度(2318文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
事業を成功させるにはオリジナリティが欠かせません。しかし、それと同じくらい模倣も重要です。成功している企業の成功要因を見極め、それを真似することは決して恥ずかしいことではありません。むしろ先達から積極的に学ぶ姿勢が成功を導くと考えられます。
 
ここでポイントは「どの企業」の「どのような要因」を「どんな風」に真似するかになります。この判断は一筋縄では行かないのです。データを生業とする自分としては、特に「どのような要因」の部分を勘違いして無駄な施策を展開する企業が残念で仕方ありません。なぜなら、初歩的なデータの見方を身に付けるだけで成功要因を見誤る不幸を減らすことができるからです。
 

photo credit : seeveeaar via photo pin cc

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成功例でなく、成功率で考える


よく見られる勘違いは、成功事例ばかりに注目して肝腎の成功率を忘れてしまうパターンです。「◯◯◯(例えば、最新のビジネス手法)を使って成功している企業が多い」ことを知って、それを真似るのです。しかし、この判断は間違いです。比率を考えるべきなのです。◯◯◯を使って成功している企業が100社あったとしても、同じものを使って失敗している企業が10,000社あったら成功率は1%に過ぎません。成功率を見ない限り、そのビジネス手法が実際の成功に結びつくかはわからないのです。
 
この意味で、広告やビジネスノウハウ本にある「A社もB社もこれで成功」といった売り文句にも注意が必要です。A社やB社が成功したのは事実だとしても、その裏に数千社、数万社の失敗例が隠されているかも知れないからです。
 
成功率で考えて、成功率が低かったら手を出さない。
まずは、ここがスタートになります。
 


その成功率は高いのか?


◯◯◯を使った企業の成功率が40%だとわかったとします。
普通に考えれば40%はかなり高い成功率ですが、◯◯◯が成功の要因であるかを見極めるにはこの数値の大きさはあまり関係ありません。◯◯◯の影響力を知るには、◯◯◯を使ってない企業と成功率と比較する必要があります。◯◯◯使用企業の成功率が40%と高くても、◯◯◯未使用企業の成功率も40%だったら、◯◯◯の影響はないことになります。もし、◯◯◯未使用企業の成功率が50%だったら、◯◯◯は使わない方がいいのです。◯◯◯を使用した場合の成功率の高低は、未使用と比較しないとわからないのです。
 


まだまだ慎重に・・・


さて、ここまでをクリアして、使用企業の成功率が未使用企業の成功率を確実に上回るビジネス手法が見付かったとしましょう。すぐにでも取り入れた方がいいでしょうか。残念ながらまだまだ慎重に検討する必要があります。それは、データに現れている影響の意味を取り違えている可能性があるからです。
 
 他の変数の影響 
数多くの変数の関係を網羅的に検討していると、変数Aにあまり関係ないような変数Bが影響を与えているように見えることがあります。例えば、健康診断のコレステロール値と持ち家率が関係あるように見えたりするのです(架空の話です)。間違ったまま考えを進めると、「コレステロール値を上げれば、家を買える」ということになりますが、もちろんそんな筈はありません。両方の変数とも加齢による影響を大きく受けるため、コレステロール値と持ち家率が関係あるように見えるだけです。
このようにまったく別の変数の影響で、2つの変数が関連あるように見えることがあります。データを見て関係性があると読み取れても、その変数間の関係を自分なりの解釈で説明できないなら採用しない方がいいでしょう。
 
 因果関係の逆転 
変数Aと変数Bの間に関係があるように読み取れても、変数Aによって変数Bが影響を受けるとは限りません。変数Bが変数Aに影響を与えているかも知れないのです。
成功している人がよく働くのか、よく働く人が成功するのか。最新の経営手法を使った企業が成功するのか、成功している企業が(お金に余裕があるので)最新の経営手法に手を出すのか。結論が出ない場合も多いですが、両方向あり得ることを肝に銘じておく必要があります。
 
 影響力の小さな変数 
変数Aに変数Bが影響を与えることがわかったとしても、それよりももっと影響の大きい変数がある可能性は残ります。影響力の小さい変数Bを好転させても、変数Aへの好影響は多寡が知れています。「重箱の隅をつついでないで・・・」という奴です。商品自体に魅力がないのに、広告やパッケージにこだわっても成功しない。そういうことです。
 


成功要因は徹底的に検討しよう


このように、真似すべき成功要因を特定するのは極めて難しい作業です。「難しい」と評論家的に言っても何も解決しないのはわかっているのですが、残念ながら「こうすれば見極められる」という方法はありません。
 
後悔したくないのなら、成功要因は徹底的に検討する。しっかりしたデータにあたる。これしかありません。あくまで「確率的に」としか言えないのですが、今回ここに書いたことに注意していただければ、注意しないよりも「どのような要因」を当てられる確率が高くなるはずです。
話の展開にご納得がいただけるようでしたら、ぜひご活用ください。

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