“おもしろいアンケート”か“本当のアンケート”か


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1364文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 

こうして、“本当ではあるが、おもしろくない調査”も、“おもしろいけど、本当かどうか分からない調査”も、ともに調査としては失格である。すなわち、“おもしろくてかつ本当の調査”こそ、理想なのである。そしてそれは、決して不可能な要請ではない。前項でみたとおり、調査というものは、まず誤っていないことと、“本当”であることが「必要条件」であるが、それだけでは「十分」ではない。真に意義のある調査、学問的にも実用的にも、あらゆる意味で“おもしろい”調査であることが、大切なのである。

 
これは『社会調査ハンドブック』(飽戸弘/日本経済新聞社/1987年)の一節です。“おもしろくてかつ本当の調査”という理想は、調査を行なうすべての者が常に忘れてはならない目標だと思います。
 


アンケートはおもしろくなければならない


本当のアンケートを勧める人は多いですが、おもしろいアンケートを勧める人はあまりいません。本当かどうかはそれなりに客観的に判断できるのに対して、おもしろいかどうかは主観的な判断となるからでしょう。
 
しかし、おもしろいかどうかは極めて重要です。おもしろくもない結果しか導き出せないのなら、アンケートをする価値はないからです。時間と手間の無駄になるだけです。担当者自体が「おもしろくない」と思っているアンケートならやらない方がマシでしょう。
 
アンケートを行なうことで、ワクワクするような新しい発見があってこそ理想のアンケートです。
 


アンケートは本当でなければならない


上に書いたようなおもしろさを目指すからと言って、どんな方法でアンケートを行なっても構わないというわけではありません。いい加減な設計で行なった“本当ではない”アンケートの結果は役に立たないのです。以前も少し触れましたが、回答者のうち「女性が8割以上」「65歳以上が7割以上」のアンケートでは何の参考にもなりません。
 
やはり、アンケートはそれなりに本当でなくてはいけないのです。
 


本当のアンケートはできないとしても・・・


とは言え、アンケート調査の教科書に載っているような本当のやり方は、今の調査環境では現実的ではありません。「回収率8割以上を目指す」なんて、アンケート調査の実情を知っている人間からすれば悪い冗談でしかないでしょう。調査の目的に応じて、どの程度妥協するかが焦点になります。これは「ここまでが大丈夫でここからが駄目」というような明確なものではないため、経験によるセンスで処理するしかないのですが、ここがプロの腕の見せどころ(?)です。
 
では、アンケート調査の専門家以外は何もできないのかといえばそうではありません。明らかに“本当ではない”アンケートを拒絶することはできます。ポイントは実際に集まる回答が、回答して貰いたい人たちを代表しているかどうかです。いい加減な設計でアンケートを行なうと、この“代表している”の部分がおかしくなります。
 
そして、ここは専門知識よりも、論理的に考えることや常識的に考えることが役立つ部分です。ぜひ、この部分を気にすることで、明らかに“本当ではない”アンケートを拒絶してもらいたいものです。

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