経営トップは事実とデータに基づいた発言を! ― 楽天・三木谷会長兼社長のインタビューを読んで


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1533文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
先週、楽天の三木谷浩史会長兼社長のインタビュー記事を2つ読みました。
 ●細かいことで騒いでいるのは少数派ですよ 楽天・三木谷社長、Kobo騒動を語る|日経ビジネスオンライン
 ●コボの出足は大成功、ネガティブな口コミは誤情報だから消し、内容を吟味して再掲載する――楽天・三木谷浩史社長|東洋経済オンライン
 
楽天が7月19日に発売した電子書籍端末kobo touchについてのインタビューで、どちらもその初期トラブルへの対応を話題にしています。事前チェックで防げないトラブルだったのか、トラブルへの対応は適切だったのか、口コミサイトの閉鎖は妥当なのか、などについて興味深いやり取りがされています。経営トップとしての資質や姿勢を試されるインタビューだと言えるでしょう。
 
自分が気になったのは、「利用者がkoboをどのように評価しているか」について三木谷社長の発言に推測が多いところです。
 


口コミやクレームを見ても実態はわからない


何らかの商品が発売され、その商品についてインターネット上で高い評価の口コミがたくさん書き込まれたとします。サクラによる書き込みはないとして、この商品は“一般に”高く評価されていると言えるでしょうか。これは言えません。意見を言いたい人が勝手に発言しているだけなので、一般の利用者の声を代表しているとは限らないからです。口コミは商品改良のヒントを得るのには役立ちますが、口コミを元に「利用者は◯◯と言っている」と一般化するのは間違いです。
 
問い合わせ窓口に寄せられるクレームについても同じことです。クレームには真摯に対応し、必要に応じて謝罪をすることも求められます。しかしそれは、たとえ“一部の利用者”であってもクレームが生じることに問題があると考えるからです。トラブルがどの程度の範囲に広がっているかは、クレームの数や質からはわかりません。
 


“この指とまれ”アンケートをしても駄目


では、その商品に興味を持った誰かが、商品評価についてのアンケートページをつくったらどうでしょう。残念ながら、これも利用者を代表する結果を得るには不充分です。自分のホームページやSNSで回答者を募っても(たとえ広範囲に拡散したとしても)、それは“この指とまれ”方式で人集めをしているだけだからです。この指とまれ方式で集まった人たちが、利用者全体を代表しているとはなりません。
 
アンケート実施側が回答者を指定する方式でない限り、利用者の声を代表する意見を知ることは難しいのです。
 


トップこそ率先して事実やデータに基づく姿勢を!


利用者が商品をどのように評価しているか。
これを高い精度で知るためには、アンケートの対象者を①メーカーなり販売店なりが持つ販売相手リストを元にサンプリングするか(「もし、あれば」ですが)、②数十万人規模の大規模なアンケートモニターから商品利用者を抽出するしかないでしょう。どちらも大きな費用が掛かりますが、簡略化して費用を抑えることも可能です。
 
経営のトップに立つ人が、推測により現状を把握して行なう判断と、(多少の質の優劣はあったとしても)事実とデータに基づいて行なう判断では後者の方が成功する確率が高いと考えられます。また、利用者や消費者にも好意的に受け止められるでしょう。信頼される経営者の資質や姿勢として、後者が好ましいのは間違いありません。
 
今回の楽天の件だけではなく、事実やデータを軽視する習慣はなかなか無くなりません。
トップこそ率先して事実やデータに基づく姿勢を示して欲しいものです。

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