原発比率の「討論型世論調査」 協力率4.2%で大丈夫?


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1337文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
8月4日と5日の両日、「エネルギー・環境の選択肢に関する討論型世論調査」が実施されました。具体的な討論の内容や討論型世論調査という目新しい手法に関心が集まっているようですが、佐々木の関心は別なところにあります。それは、調査として信用できるのか、この一点です。
 


調査に「回答する人」と「回答しない人」の差は?

一般的に、調査を行なうときランダムに選べるのは調査対象者までです。自分たちが「調査を依頼する」対象者は、特定の方法で作業することによりある程度ランダムに抽出することができます。
 
しかし、調査をお願いしたすべての人が協力してくれるわけではありません。調査に「回答する人」と「回答しない人」がいるのです。そして、この「回答しない人」の存在が調査結果を歪めます。調査に「回答する人」と「回答しない人」との間には、行動や意見に差があると考えられるからです。性別や年齢構成の歪みだけでなく、性格、忙しさ、調査テーマに対する関心度などが違うため、両者の回答には自ずと開きが生じるのです。
 
回収率(調査に回答する人/調査を依頼した人)が80%〜90%となるような高率ならあまり問題はありません。ところが、今の時代の調査環境は極めて厳しく、こんな高い回収率は望めません。そして、回収率が低いと問題が生じます。例えば、100人に調査を依頼して60人が回答し、その内8割の人がある商品を「良い」と答えたとしましょう。かなりの高い支持率のようですが、「回答しない人」がどう考えているかで評価はまったく違ってしまいます。未回答の40人がすべて「良い」と答えなかった場合、100人中の支持率は48%(60人×80%)しかないからです。
 
ここまで極端な事態は少ないとしても、調査に「回答する人」と「回答しない人」の差に、常に注意を払う必要があります。
 


「討論型世論調査」の協力率はたった4.2%

さて、「エネルギー・環境の選択肢に関する討論型世論調査」ですが、調査の詳細が専用ホームページにあります。これによると、全国の「6,849名」に無作為の電話調査を行ないそのうち301名が参加予定(7月28日現在)です。今日の各社の報道によると実際の参加者は286名だったようです。電話調査の対象者全員に討論型世論調査の参加を呼びかけたとすると、協力率(上記に書いた回収率に相当)は286名/6849名でたった4.2%となります。
 
調査対象者の6849名をランダムに選んだとしても、その協力率が4.2%ではそこに大きな歪みがあると考えるのが常識的な判断ではないでしょうか。テーマへの興味の強さ、性格の積極性、生活の忙しさなどが影響している可能性が想像できます。
 


調査の信用度にあった使い方を

調査の結果を代表性がある意見としたいならば、ランダム性が必要です。「討論型世論調査」はとても興味深い調査手法ですが、今回、参加へのハードルが高過ぎて、充分な協力が得られなかったようです。
 
調査をしてしまったからそれを使うというのではなく、調査の信用度に見合った使い方をしてもらいたいものです。

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