偶然を認めることが差別化になる


この記事の所要時間: 20秒 〜 30秒程度(1241文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
『まぐれ』(ナシーム・ニコラス・タレブ/ダイヤモンド社)から、もう一つ重要な箴言を紹介しましょう。
 

知識を集めるとき、集め方に偶然の要素があることを認め、紛れ込んだ偶然の要素を議論から取り除かなければ、集めた知識の質を判断することはできない。

 
そうなんです。いくら知識が集まっても、それらはたまたま偶然に集まった知識かも知れないのです。意味がある、つまり統計的に有意な知識でなければ、価値ある結論は導けません。
 
ビジネの現場では「偶然を認める」ことが過剰に嫌われます。多くの場合、営業マンが上司からある月の売上が少ない理由を聞かれて「偶然です」と答えるわけにはいきません。「有意な差はありません」と答えれば喧嘩になるでしょう。無理矢理にでも理由を創り出すことになります。しかし、実際にはビジネスでも偶然のチカラは大きく作用しています。偶然を認めないということは、現実を直視してないのと同じなのです。
 
世のビジネスマンの多くが偶然を認めないのですから、あなたが偶然を積極的に認めればそれは他者との差別化になり得ます。
 


偶然を考える統計学


統計学はまさに偶然を対象にします。
10,000人から100人をランダムサンプリングしてアンケート調査を行ない、ある質問に「はい」と回答した人が80%だったとします。このとき、「はい」の80%が、元の10,000人についてもあてはまるかを考えるのが統計学です。100人の集め方に偶然性があることを認めて、偶然で80%になった可能性を検討するのです。
 
正直に考えて、多くの人にとって統計学の数式や細かな知識は重要ではありません。でも、何ごとにも偶然の要素があると考えること、これは大きな意味を持ちます。
 


最新ニュースを追いかけるのは意味がない!


毎日毎日報道される最新ニュースは有意でしょうか。偶然起こったどうでもいい細かなニュースに振り回され過ぎている可能性があります。「社会人として最低限のニュースくらい押さえておかないと」という目的でのニュース収集は否定しません。ただ、それをするあまり、無意味な情報によって混乱してしまっては本末転倒です。広くニュースを知ることと、意味のあるニュースを見極めることは違うのです。
 
新聞やテレビは日経平均株価がたった10円動いたことについても原因を説明しようとしますが、ただの偶然と考えるのが妥当でしょう。偶然を認めずに、何でも理由づけするのは危険な傾向です。
 


偶然を疑う


「偶然を認める」ことについて、「こうすればできる」という即効の技術はありません。しかし、常に偶然の可能性を疑うだけでも、効果は期待できます。確信を持つことが難しくなるのでかなり苦しいですが、そこから見えてくるものがあります。
 
皆さんも、少し「偶然を認める」心でビジネスに臨んではいかがでしょうか。

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