データ分析は魔法の道具?


この記事の所要時間: 20秒 〜 30秒程度(1215文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
企業にとって、新しい商品や技術を開発したとき、そこに注意を集めるためその商品、技術による効果や効用を大きくアピールすることは重要です。まず興味を持ってもらわないことには、関心や欲求、そして購買にはつながらないからです。
 
このとき気を付けなくてはいけないのが、効果や効用を過剰に宣伝してしまう過ちです。少しでも多くの人にアピールするため、たとえば、ごく稀にしか起きないような成功を常に達成可能なことのように伝えてしまい、墓穴を掘ることになります。
 
満足は期待と実現された効果・効用との差分ですから、期待値を高め過ぎれば不満足な結果となり、リピートは望めません。短期的には、過剰な期待によって多くの利益を得られるかも知れませんが、その永続は望めないのです。
 
「何を当たり前のことを言っているんだ」と思われるでしょう。しかし、ビジネス手法についてはこれが年中繰り返されています。
 

photo credit : Hadi Fooladi via photo pin cc

 


 


良識ある分析担当は板挟み?


さて、なぜこんなことを今更考えたかというと、IT Proのソーシャルデータを使った予測技術の基本という記事に刺激されたためです。この記事はどのような予測技術があるかを紹介したものですが、その前段でデータ分析についての「期待と現実のギャップ」が語られています。一般の人々の大きな期待とそのすべてには応えられないと考えるデータ分析の専門家の関係の話です。
 
多くの場合、データ分析を行なう人間はきわめて慎重です。良識的であればあるほど、成果への過大な評価を心配します。しかし、データを使用する側は、信頼度が低いと注釈した成果までトコトン使おうとします。この矛盾が、良識ある分析担当を板挟みにすると言っていいでしょう。
 


魔法の道具はどこにもない


企業に課題があるとき、担当者はその解決に使える道具を探します。課題が大きければ大きいほど道具への期待は高まり、場合によっては「そんなことできるわけない」という高望みに陥ります。まるで魔法の道具を求めるようなことが起きるのは、このためです。
 
そこに、魔法の道具を提供するという輩が出てきますが、実際にはそんな道具はありません。もちろん、データ分析とて同じことです。大量のデータを分析すれば、多くの結果が得られますが、結果は玉石混淆で価値ある情報は限られるのです。過剰な期待は禁物です。
 
こういうことを言うと、「アレもできない、コレもできないでははじまらない」という反論が返ってきます。しかし、それでも「できないものはできない」と言い切り、できる範囲で小さな成果を積み重ねることが重要です。
少なくとも、自分はそういうアプローチでデータ活用を浸透させたいと考えています。

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