iPhone“イタズラ”アンケートに学ぶ消費者像


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1513文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
GIZMODEに街のアメリカ人にiPhone 4Sを見せてiPhone 5の感想を聞くイタズラ(動画)という記事がありました。iPhone 5のアンケートなのですが、「これが今日発表になったiPhone 5です!」と言いつつiPhone 4Sを渡して、その感想を聞いています。
 
結果は、

・おーずっと良くなったな! いいねー。違いは歴然。

・前より薄くなった。画面もちょっと大きくなったかな。

・(自分の4S画面見ながら)
  わ、私の携帯の方がうんと時間かかってる…ずっと速いね、うん。

など。みんな「すっかり騙された」というオチです。
 
さて、この結果を意外だと思う人がいるでしょうが、驚くには値しません。アンケートの回答なんて、多かれ少なかれこんなものです。この結果は、消費者が合理的に行動するとついつい勘違いしてしまう人にとって、素晴らしい教材だと思います。

photo credit : Photo Giddy via photo pin cc

 


もっといい加減な消費者像を!


行動経済学を持ち出すまでもなく、消費者の購買行動にはいろいろな癖があります。「いい加減」といってもいいでしょう。少なくとも「合理的に考えて最適なものを選ぶ」ようなことは、滅多にありません。何となく惹かれてお店に入り、たまたま目に付いたものを買ってしまう。直感で欲しい物を決めて、後からそれを選んだ理由付けをする。そんなことの繰り返しです。
 
当然のことながら、アンケートの回答も「いい加減」です。質問文を最後まで読まない人、対象の商品を勘違いする人、知ったかぶりをして当てずっぽうに答える人、ウソの回答をする人など、さまざまです。もちろん、質問をする側はこれらを少しでも防ぐよう努力するのですが、完全に防ぐことは不可能と言えます。
 
一方で、アンケート調査の質問内容は理詰めで考えます。
例えば、消費者はAIDMA通りに注目(Attention)、興味(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)の行動をすると仮定して、質問票を組み立てるのです。例外がたくさんあるのは承知していますが、こういうモデルを使って考えないと抜けや漏れが出てしまい、筋の通らない質問票になってしまうためです。
 
マーケティングの理論も同じようなところがあります。個々人の行動はバラバラでいい加減だということをわかっていても、その共通点を見つけて理論立てするため、できあがった理論を読むとまるで消費者が合理的に行動するように見えることが多いのです。
 
しかし、実際の購買行動やアンケート回答は決して合理的なものではありません。そして、現実と較べて過剰に合理的な消費者を想定することは、悲劇を生みます。簡単に例を挙げれば、「自社の商品の方がライバル社の商品より優れているから、必ず売れる」とはならないのです。こんなことは誰もが頭ではわかっている筈なのですが、渦中の人となるとついつい合理的な消費者を考えてしまうミスが生まれます。
 
そこで、冒頭で挙げたイタズラアンケートが生きてきます。このアンケート結果こそ、「消費者は合理的でない」ことを実感するのに最適でしょう。このアンケートを笑うだけでなく、こんなことを感じ取っていただければと思います。

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