「不満解消 ≠ 満足向上」に気を付けろ!


この記事の所要時間: 150秒 〜 250秒程度(1184文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
モチベーションについての考え方として、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論があります。職場において、従業員に「満足」を与える動機づけ要因と、「不満」を抑える衛生要因は別々にあるという考えです。この理論に従えば、「賃金」や「労働条件」を改善しても、それは不満の解消にとどまり、満足やモチベーションの向上にはつながりません。モチベーションを高めるためには、これとは別に「仕事の達成感」や「責任範囲の拡大」が必要ということになります。まあ、簡単に言ってしまえば、モチベーションについて「不満と満足は非対称」だということです。
 
動機づけ・衛生理論は、本来、職場における個人や個人の勤務態度についての議論ですが、「不満と満足の非対称性」のフレームで考えることは他のジャンルにも応用可能でしょう。例えば、マーケティングにおいても有効なフレームだと考えられます。
 

photo credit : Der Toco via photo pin cc


 


不満を解消しただけでは商品は売れない!


お客がその商品に対して不満を持っているならそれを解消するのは当然です。では、不満を解消できたとして、それが大きな売上増加の要素となるでしょうか。ここで、「不満が減少すれば満足が増加する」かどうかがキーになります。動機づけ・衛生理論の考え方を意識しないと、ついつい「不満解消 = 満足向上」と考えがちです。しかし、そうとは限りません。不満解消が満足向上につながらないこともあるのです。
 
既存商品を少しでも良いものにしようとしたとき、消費者の不満を解消するアプローチと、満足を向上させるアプローチがあります。両者は同じ目標を持ちますが、似て非なるアプローチです。商品改良で売上向上を目指すなら、この違いを踏まえなくてはなりません。商品を売るには、不満解消だけでなく、満足向上が必要なのです。
 
例えば、テレビ事業で考えてみましょう。今日、日本の家電各社は高画質を売りにする「4Kテレビ」を打ち出しています。これは「不満解消」でしょうか、「満足向上」でしょうか。残念ながら、消費者の購買意欲を大きく駆り立てるような「満足向上」要素とは考え難いでしょう。画質は少しでも良い方が好ましいですから多少の「不満解消」にはなりますが、これを求めてテレビの大きな買い換え需要が起きるとは考えられません。
 
商品に新しい要素を組み込むなら、それが「満足向上」要素か「不満解消」要素かを仕分けして考えることが役立ちます。その際、不満と満足が非対称になることを考慮することが重要です。

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