顧客満足の小差がシェアの大差を生む!?


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1511文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
引き続きモンテカルロ法を使って考えます。
前回前々回は、スポーツを対象にしてモンテカルロ法によるシュミレーションを試みましたが、今度はビジネスへの応用です。
 
以下のような状況を考えてみました。

 ・AとBという2種類の商品だけで構成されている市場がある。

 ・現在、両商品のシェアは50%ずつ。
  消費者は2つの商品を完全にランダムに選択している。
  つまり、Aの選択確率 = Bの選択確率 = 50%。

 ・両商品の品質には違いがあり、顧客満足に差が出る。
  この結果、購入経験により次回以降の選択確率が変動する。
   Aを購入:Aの選択確率が1回あたり10%増加
   Bを購入:Bの選択確率が1回あたり5%増加

 ・消費者は月に一度ずつこの商品を購入する。

 
このとき、1年後の両商品のシェアはどうなっているでしょうか。
 

photo credit : redwood 1 via photopin cc

 


たった5ポイントの小差が大きな影響に!


さて、相も変わらず1万件のシミュレーションを10回行なったところ、12か月後のAのシェアは80.52%〜82.09%となりました。
 
正直に白状すると、かなり予想外の結果です。10%増加と5%増加というたった5ポイントの小差が、ここまでシェアに影響を与えるとは思っていませんでした。実際にシミュレーションしてみないとわからないものです。
 
もっと意外だったのがシェアの推移です。
1か月目からの平均シェアの動きは以下の通りで、シェアの上昇幅がだんだん増えていたのに、途中で減りだしたのです。まあ、上限に近づくに連れて上昇幅が圧縮されたのだとは思うのですが、どうしてそうなるかはまったくわかりません。不思議なこともあるものです。

1か月目 49.94%
2か月目 52.62% +2.68%
3か月目 55.62% +3.00%
4か月目 58.84% +3.18%
5か月目 62.37% +3.53%
6か月目 66.82% +4.45%
7か月目 70.41% +3.59%
8か月目 73.78% +3.37%
9か月目 76.51% +2.73%
10か月目 78.36% +1.85%
11か月目 80.05% +1.69%
12か月目 81.48% +1.43%

 


まずは試算してみよう!


さて、この計算を見て「これはビジネスで使える」と思った人はほとんどいないでしょう。なぜなら、元の状況設定自体が想像上の産物ですし、選択確率の上昇幅をはじめ仮定の数値が多過ぎるからです。現実から程遠いという批判はその通りだと思います。
 
しかし、それでもモンテカルロ法による試算には価値があります。
将来の予測が難しいからといって山勘や「わからない」で片付けるのではなく、仮にも試算しているところが重要なのです。こういう試算をすることにより、どんな数値がわかれば将来が予測可能になるか少しずつでも見えてきます。それを把握できるようになれば、予測の精度は上がるはずです。また、一つ一つの数値をアンケート等で根拠付けることも可能になります。
 
「わからない」で終わらせずに、まずは試算する。
このために、モンテカルロ法は役立つツールです。

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