ビッグデータの「Why」はよくわからない?


この記事の所要時間: 30秒 〜 40秒程度(1772文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
ビッグデータの話の締めくくりに「Why」を取り上げます。
「何のためにビッグデータの分析をするのか」「ビッグデータの分析結果をいかに活用するのか」についてです。
 
当然、この「Why」部分は分析システムの提供側も利用側も各社各様です。そこで、「How」と同じように少し「引き」の視点で見ることで役立つ話を目指します。
 

 


「そこに空き地がある」から


どんな企業でも、自社の業容を維持、拡大するために、新しい売上を必要としています。既存の商品やサービスの市場が拡大している場合は今の商売をいかに大きくするか考えれば充分ですが、自社が属している市場に限界が訪れると、無理な営業をする、新しいジャンルを探すことが求められます。
 
以前、なぜゼネコンは薄利でもマンションを立て続けるのかという話がありました。その答えの中で説得力を持っていたのが、「止まったら潰れる」というものです。本社機能、設備、従業員などが膨れ上がっていて、利益が少なくても何か仕事をしていないと持たないというのです。もちろん、それで回っている、つまりマンションが売れているうちはいいのですが、それがなかなか難しくなると大変な事態に陥ります。地権者に「必ず売れる」といってマンションを建てても、結果的に「売れなかった」ということになってしまうのです。「必ず売れる」を方便だとはいいませんが、楽観的な解釈が存在することは否定できないでしょう。「そこに空き地がある」から立てさせてくださいと言っているだけで、採算の見通しは不確かな場合もあるのです。
 
IT関連では、2000年問題の対応が終わりに近づいたころ、システム会社から過剰になってしまった人員を食わすために「次のテーマを作らなくてはいけない」という話を聞いたことがあります。一企業ではなく、業界として考えなくてはという論調でした。まあ、企業や業界が新しい売上を求めて努力するのは健全なことですが、無理矢理に新しいテーマを作ろうというプロダクトアウトの市場創造には違和感を覚えます。「そこにコンピュータがある」から何かさせてくださいに近いのではないでしょうか。
 


「そこにデータがある」から


さて、ビッグデータですが、これも同じような匂いがします。
大手のIT企業が生き残りをかけて、大量の演算能力、記憶装置が必要な分析方法を考えているという見立てです。「そこにデータがある」から、何か分析させてくださいと言うわけです。確たる勝算はなく、分析の目的と手段が逆転しているような状態です。
 
最初は無理なトライアルだとしても、結果が伴えば利用者側も得をするのでいいのですが、まだまだその状態には程遠いでしょう。ビッグデータの活用には慎重な姿勢を取った方が好ましいように思います。
 
今回、ビッグデータを定義した後、「What」→「How」→「Why」で考察しました。我ながらおかしな順序です。常識的に考えれば、「Why」があって、その目的を叶えるために「What」と「How」を考えるのが普通でしょう。なぜこの順にしたかといえば、提供側の思考回路がこうなっていると感じているからなのです。
 


ビッグデータこそメカニズム解明法で


ビッグデータのすべてをやめたほうがいいとは言いません。
 
「やりたいこと」があって、そのためにビッグデータの分析が必要だ、役立ちそうだというなら、トライアルの価値はあるでしょう。何らかの目的があり、それを達成するために背景にあるメカニズムを解明する。このためにビッグデータが役立つ可能性はあります。
 
「取りあえずはやりなんで我が社もやらない訳にはいかない」ではダメです。メカニズム解明法の裏付けを取るようなアプローチでビッグデータを活用することが、成功への近道のように思います。

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