ソフトバンク 12.0% vs au 88.0%


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1462文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
9月21日のiPhone 5発売から約1か月。
株式会社イードが「iPhone 5 通信会社選択の満足度に関する調査」の結果をリリースしました。ソフトバンクモバイルとauでiPhone 5を購入した各250名が対象の自主調査で、「通信会社の満足度」「LTE(高速通信サービス)の満足度」「各通信会社の選択理由」などを質問しています。通信会社の満足度でauがソフトバンクを15ポイント引き離すなど、おおむね「au強し」という結果になっているようです。
 
さて、このリリースの最後にMNP(番号持ち運び制度)についての質問が紹介されています。iPhone 5購入者中のMNP利用比率はソフトバンクで5.6%、auで41.2%。ソフトバンクモバイルとauを比較する流れなのでこの見方になりますが、わかるようなわからないような数値です。誰もが知りたいのは、このデータよりもう少しピリッとした数値ではないでしょうか。
 


photo credit : smjb via photopin cc

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ソフトバンク 12.0% vs au 88.0%

自分が集計するなら、MNPでiPhone5を購入した人をベースに考えます。
ソフトバンクモバイルで250人中5.6% = 14人、auで250人中41.2% = 103人がMNPを利用しているので、全500人中のMNP利用者は117人。この数を分母に両社の比率を計算すると、ソフトバンクモバイルの12.0%に対して、auが88.0%となります。「iPhone 5をMNPで購入した人」は、このような構成となるのです。
 


分母がメッセージを強化する

auの88.0%は圧倒的な数値に見えますが、もちろん調査対象全体の500人から見れば2割ちょっとです。調査対象にiPhone 5以外のユーザーを加えれば、1%にも見たない小さな規模の動きになるでしょう。
 
アンケートの集計結果のパーセンテージは分母の決め方次第で、全然違ったものになります。このため、アンケートの目的に合わせてうまく分母を決めることができないと、意味のない解釈をしてしまい大やけどをすることになるのです。調査目的によっては「狭いマーケットで圧倒的な支持」に大きな価値がある場合もあります。しかし、別の調査目的では、これが重箱の隅をつつくような細かなどうでもいい話になるのです。
 
ポイントは、分母の意味をデータを見る人に有効と思わせられるかどうかです。
上の例の場合、「iPhone 5をMNPで購入した人」は、通信会社を変更してiPhone5を買いたい人ですから、NTTドコモからの乗り換えであれ、ソフトバンクモバイルとau間の移動であれ、通信会社を「あえて選んだ」人という解釈です。その人達の選択を抜き出せば、「通信会社を変えるのは面倒」という消極的な選択を除き、積極的な選択の比率を見ることができると考えたのです。これを有効なアプローチと思うか思わないかは受け手次第ですが、データを分析、活用するにあたってこの部分の熟考は欠かせません。
 
調査設計時もしくは集計時に、分母の意味を明確にすることでメッセージを強化できます。不用意な分母の選択をしないよう、注意が必要です。

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