カテゴリー適用法に気をつけろ!


この記事の所要時間: 330秒 〜 430秒程度(2009文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 

このブログによく登場するフレームに、カテゴリー適用法、要因列挙法、メカニズム解明法という3つの思考法があります。『経営戦略の思考法』(沼上幹/日本経済新聞出版社)で見知った考え方で、本に書かれている以上の特別な知識があるわけではないのですが、自分や他人の思考法と照らし合わせて見たときにとても納得できるため活用させていただいています。「腹落ち」する感じなのです。
 

とは言え、このブログでしっかり説明したことはありません。
そこで、今週は一度考えてみたいと思っていたこの3つの思考法をテーマに考察したいと思います。まずはカテゴリー適用法からスタートです。
 

photo credit : epSos.de via photopin cc

 


「スズメは鳥だから飛べる」のか?


カテゴリー適用法は『経営戦略の思考法』の中で次のように紹介されています。

カテゴリー適用法とは、ある現象をより大きなカテゴリーの一員に位置づけることで説明できると考える思考法である。

その上で、「スズメは鳥だから飛べる」、「インテルはデバイス事業だから儲かる」、「自社は組立事業だから儲からない」などを例にして、これらの説明ではしっかりした根拠になっていないことを指摘します。「鳥は翼が揚力を発生させて・・・ので、飛べる」といった説明をしない限り、根拠にはならないのです。
 
これらの例がロジカルでないことは指摘されてみればご尤もです。カテゴリー適用法の欠点の一つは、理由として示しても実際には説明になっていない点にあります。
 


その特徴は100%あてはまりますか?


カテゴリー適用法の問題点は「説明になってない」だけでなく、雑な論理展開にもあるように思います。
 
以下の2つを読み較べてください。

 ・ソクラテスは人間というカテゴリーに属する
 ・人間は必ず死ぬ
 ・ソクラテスは必ず死ぬ

 ・ソクラテスは男性というカテゴリーに属する
 ・男性は力持ちだ
 ・ソクラテスは力持ちだ

 
説明として意味があるかを置いておけば、「死ぬ」の方は問題がないロジックです。100%の人間に適合するからです。一方、「力持ち」の方はどうでしょう。まず、力持ちの定義がはっきりしませんし、すべての男性が力持ちとは限りません。
 
カテゴリー適用法には、「100%あてはまるわけでない特徴をすべてに適応」してしまうという欠点もあると言えるでしょう。
 


その「常識」は本当ですか?


もう一つの問題点は、「あるカテゴリーに属すれば◯◯だ」の◯◯の部分に、「無根拠な常識をあてはめる」ことです。
 

 ・日本製だから良質
 ・中国製だから粗悪
 ・アップルの新製品だから期待できる
 ・ミャンマーでつくれば儲かる
 ・売り場を広げれば売り上げが増える
 ・偉い先生のいったことだから本当に違いない

の類でしょうか。
 
もちろん、多くにあてはまる場合もあるでしょうが、カテゴリーにあてはめるのではなく「なぜそうなるか」を考えないと間違いの元です。
 
日本製品が良質なのは品質管理がしっかりしているからだと考えるなら、中国でも品質管理を徹底すればいいことになります。製造装置が優れているだけなら、それを中国に持っていけばいい話です。国民性の違いといってしまうと議論になりませんが、社員教育をどうするかという課題になるでしょう。
 
これらのどれが正しいかは別にして、いずれも「中国だから」とカテゴリー思考法で片付けるよりは良い結果を生むでしょう。ラベルを貼ってわかったつもりになるのではなく、その本質に迫ることが必要なのです。
 


カテゴリー適用法に気をつけろ!


さて、ここまでカテゴリー適用法の問題点として以下の3点を指摘しました。

 ・説明になってない
 ・100%あてはまるわけでない特徴をすべてに適応
 ・無根拠な常識をあてはめる

 
どれもついつい行なってしまう「思考の近道」なので、普段の自分の言動を振り返ってみると、これらのいい加減なロジックを無意識に使っていることに気付かされます。しかし、このようなロジックは危険であり、ビジネスの場ではなるべく使わないようにした方がいいのは間違いありません。
 
何より素早く判断しなくてはならない場合、まったくわからないことに目星をつける場合など、カテゴリー適用法が役立つ場面もありますが、カテゴリー適用法はなるべく使わない、利用するときは意識して使うことが大切でしょう。

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