Windows 8入れたのにタッチ操作できない!?


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2084文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
季節は秋。
クリスマス商戦を控え、IT各社が続けざまに新商品を発表、発売しています。
 
その最中、10月26日にマイクロソフトがWindows 8を全世界で発売しました。
Windows 7からユーザーインターフェースを大幅に変更し、直感的なタッチ操作が可能という触れ込みです。
 
今後、パソコンからタブレット端末への切り替えが進むという見立て(?)がある中、タッチ操作に対応していることを強調するのは当然でしょう。しかし、そのせいでおかしな勘違いが起きているようです。正に今回の記事のタイトルなのですが、「Windows 8入れたのにタッチ操作できない!?」という苦情が出ていると言うのです(参考:ああ勘違い、「報道が悪い」の声も Windows 8入れてもタッチパネルに「変身」しません|J-CASTモノウオッチ)。
 
正直、「苦情が出ている」の類はどこまで本当なのか裏付けを取れないので半信半疑なのですが、「さもありなん」という話です。「機器がタッチ操作に対応していなければタッチパネルにならなくて当然」と言うのは、わかっている人間の論法です。パソコンやタブレット端末の利用の裾野が広がり、かなり「わかってない人」も電子機器の恩恵をこうむっている現状を考えると、こんな話があっても何ら不思議はありません。
 
今回は、この何ともおかしな現象をカテゴリー適用法と結び付けて考えてみます。
 

photo credit : Yogesh Mhatre via photopin cc

 


「Windows 8 → タッチ操作」はカテゴリー適用法


企業が消費者にメッセージを伝えるとき、あえてカテゴリー適用法を使うことがあります。ゴチャゴチャした理屈を端折ってブラックボックスにしてしまい、「ロッテ → お口の恋人」、「ケーズデンキ → 新製品が安い」、「ニトリ → お、ねだん以上」のような単純なメッセージに仕立て上げるのです。ここで挙げた例はすべて広告のコピーですが、この種の単純化はどこかしこで見られます。
 
マイクロソフトも、Windows 8の売り出しにあたって「Windows 8 → タッチ操作」というカテゴリー適用法でメッセージを発信しています。そして、それは一見うまくいっているように見えます。しかし、マイクロソフトの想像以上に「わかってない人」が多く、こんな頓珍漢な勘違いを生む結果になってしまったのではないでしょうか。
 
メッセージの単純化は極めて有効ですが、受け手の対応を見極めないと面倒なことになり兼ねません。
 


「タッチ操作 → 使い易い」は本当か?


さて、この話題にはもう一つカテゴリー適用法が隠されています。
それは、「タッチ操作 → 使い易い」です。
 
iPhoneやiPadをはじめとするスマートフォン、タブレット端末の流行で、「タッチ操作 → 使い易い」というカテゴリー適用法が蔓延していますが、これは本当でしょうか。指でのタッチが、マウスやスタイラス(画面をタッチするペン)と較べて操作性に優れているのは間違いありません。しかし、操作性がいい=使い易いではないのです。
 
何らかの機器なりOSなりが使い易いかどうかは、その全体設計、画面、アイコン、遷移などのデザインに掛かっています。どれだけユーザーインターフェイスを考えて設計を行なっているかがポイントです。タッチ操作を前提にして、すべてを1から作り直す必要があります。既存の全体設計をそのままタッチ操作に当てはめても使い易いものはできません。
 
自分が長いことマックユーザなので偏見もあるかと思いますが、この点でマイクロソフトへ期待するのはなかなか難しいものがあります。これまでのマイクロソフト製品は、高機能であったとしても、決して使い易いものではなかったからです。「今まで使い難かった → 次も使い難い」もカテゴリー適用法ですが、急に使い易くなるという根拠もありません。
 
Windows 8が、「タッチ操作 → 使い易い」なのか、「マイクロソフト → 使い難い」なのか。どちらのカテゴリー適用法も、あまりロジカルではありませんが一定の説得力を持ちます。しかし、どちらも間違いです。
 
こればかりは議論をしていてもはじまりません。
たとえ要因列挙法を行なっても、メカニズ解明法で考えても、大した結論は導き出せないでしょう。当然ながら、まず自分の目で手で確かめてリアルな判断をする必要があります。
 
そしてそのときに、「タッチ操作 → 使い易い」、「マイクロソフト → 使い難い」といった先入観を捨てて、判断することが役立ちます。カテゴリー適用法は自分の目を曇らせることもあるのです。

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