マーケティング発想法実践編 辞書を読む愉楽


この記事の所要時間: 30秒 〜 40秒程度(1741文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
先週に引き続きマーケティング発想法を取り上げます。
マーケティング発想法で考えるためのフォーマットを実際に使ってみることで、このフレームを更に実践的なスキルへと具体化させる狙いです(参考:「ドリルと穴」を使い易くフォーマット化!)。
 
1回目となる今回は辞書について考えます。
辞書の中でも国語辞典に絞って、新たな展開を探るトライアルです。
 

photo credit : MrPhilDog via photopin cc

 


大きく変わる辞書の位置付け


情報を巡る環境が日々変化していく中、ここ数十年で大きく位置付けが変わったものの一つに辞書があります。重く分厚い辞書をめくっていたのも今は昔、CD・DVDの辞書や専用端末の電子辞書が発売される時代を経て、今ではパソコンのOSに標準で辞書アプリが組み込まれています。右クリックのメニューの中に辞書がある、そんな状態です。スマートフォンの辞書アプリも人気のようです。
 
自分の場合、浅学ながら言葉には興味があるため、以前は、語義に独自性がある『新明解国語辞典』、幅広い文芸作品からの用例文が素晴らしい『新潮現代国語辞典』、安心と信頼と権威付け(?)の『広辞苑』を使いわけていました。しかし、今ではMac OS Xに組み込まれた辞書アプリに頼りっきりとなり、その辞書が『大辞泉』だということも今回はじめて知ったような体たらくです。
 
もちろん今でも辞書を引くことはありますが、その接し方は大きく変わっています。
主に使うのは、パソコンやインターネットで調べた言葉の意味が自分の語感と違っているときの確認です。ただ単に言葉の意味を調べるだけのために辞書を引くことはほとんどありません。この変化が自分だけのこととは考え難く、パソコンやスマートフォンを使う人の多くに同様の変化が訪れていることでしょう。
 


辞書アプリには遊びが足りない


さて、これが自分なりに辞書についてマーケティング発想法で考えた結果です。

マーケティング発想法 ― 辞書

 
まず、辞書を使うことの効果として、①言葉の意味を知る、②漢字を確かめる、③読んで学ぶ、④読んで楽しむという4つを考えました。ここからは、基本的かつ実用的なベネフィットである①と②、それとはいささか異なった派生的でやや娯楽的な要素のあるベネフィット③と④の違いを見出すことができます。「学ぶ」を娯楽的というのはおかしな感じもしますが、辞書を読んで言葉を学ぶというやり方はかなり遠回りな方法であり、娯楽的要素があることは否定できないでしょう。
 
こうやって、辞書という製品を効果やベネフィットをベースにして考えてみると、パソコンの辞書アプリは実用的なベネフィット①②を代替できていますが、娯楽的ベネフィット③④を代替できていないことがわかります。辞書アプリは実用本位で遊びが足りないのです。
 


マーケティング発想法で代替品を考える


当然ながら、実用本位の辞書アプリを提供し続けることは間違いではありません。
辞書がかなえていたベネフィットの一部にフォーカスして、その代替品を開発することは極めて合理的な戦略です。しかし、娯楽的なベネフィットに商機がある可能性を見逃している、もしくは見逃していなくても商売にできていないのもまた事実のようです。パソコンの日本語変換の間違いや、予測変換の暴走(?)はある種の言葉遊びになっているものの、商売にまで昇華している例はあまりないように思います。
 
あるモノ(例えば辞書アプリ)が別のあるモノ(辞書)を代替しているように見えていても、元々あったモノが持つベネフィットのすべてを補っているとは限りません。マーケティング発想法を用いてベネフィットを中心に考えることで、新しい代替品の可能性を考えることができるでしょう。
 
この代替品を探る考え方は、マーケティング発想法をうまく活用できる有望なアプローチだと考えられます。

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