タッチパネルがファクシミリを消し去る日


この記事の所要時間: 330秒 〜 430秒程度(1960文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
残念ながら、今でもファクシミリはオフィスの必需品です。
 
ファクシミリは、自分宛の文書が届いたことに気付かなかったり、誰かに間違って持っていかれたり、これらが原因で「送った」「受け取っていない」の行き違いが生じたりで、トラブルの原因になることがしばしばあります。
 
ファクシミリを使った個人情報のやりとりは、誰に見られるかわからないため細心の注意が必要ですが、オフィスのファクシミリの受信トレイに個人情報が掲載された文書が長時間放って置かれることは珍しくありません。
 
このような例を考えてもわかる通り、ファクシミリは大人数のオフィスではかなり危険なツールです。しかし、それでも未だに使い続けられています。
 
それはなぜか。
今回はこれを考えてみることにしましょう。
 

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ファクシミリで「画像のやりとり」が可能になった

ファクシミリが使い続けられている理由は、手軽に「画像のやりとり」ができることに尽きるでしょう。
 
今では当たり前のことになっていますが、音声で通話するための電話回線を使って画像を送信できるというのは画期的なことです。ファクシミリの無い時代には、郵送するか口頭で伝えるしかなかった画像の情報を、その場ですぐに電送できることの効果はかなり大きかったと考えられます。ワープロでつくった文書でも、写真が入った印刷物の校正刷りでも、手描きのメモでも同じことです。その上、使っているのが電話回線ですから、どこのオフィスでもファクシミリの機器さえ揃えればすぐに利用できます。このことも手伝い、ファクシミリは広くオフィスに普及しました。
 
自分が会社に入ったときには既にファクシミリがありましたが、これが無かった時代にどうやってビジネスをしていたのかは想像もつきません。ファクシミリは、そのくらいオフィスに無くてはならないものだったのです。
 


ファクシミリのベネフィットは「手書きに対応」

しかし今では、パソコンでつくった書類は電子メールで簡単に送受信できます。
ファックスで送ることができてメールで送れないものは、印刷した書類などに手書きを加えたもの、元から手書きのメモだけです。もちろん、スキャニングしてメールに添付することは可能ですし、自分はよくやりますが、これはまだまだ面倒でしょう。
 
メールが広く普及した結果、慣れの問題を除けば、もはやファクシミリに残されたベネフィットは「手書きに対応」していることだけのように思います。

マーケティング発想法 ― ファクシミリ

 


タッチパネルで手書きできれば・・・

ファクシミリのベネフィットが「手書きに対応」だけなら、そろそろファクシミリの寿命は尽きるかも知れません。なぜなら、今後、タブレット端末をはじめとしたタッチパネル対応機器が増えるからです。
 
今現在、書類に手書き情報を加えようとするなら、印刷した書類に書き込むことになります。しかし、パソコン画面が標準でタッチパネルになったらどうでしょう。わざわざ印刷する必要はありません。パソコン画面で開いた書類に、直接手書きで書き込めばいいことです。アプリケーションがどのように対応するのか、指で書くのかスタイラスペンを使うのか、今のパソコンの画面の角度で書き易いのかなどいろいろと細かな問題はありますが、それらはそのうち解決されます。
 
こうなった場合、ファクシミリの持つ「手書きに対応」というベネフィットがタッチパネルに代替されることでしょう。そうすれば、オフィスからあの忌々しいファクシミリが消え去る日が訪れるのです。
 


ベネフィットでつながるモノとモノ

今回、一見関係が薄いように感じられるファクシミリとタブレット端末が「手書きに対応」という共通のベネフィットでつながりました。多くのものが何らかのベネフィットを実現するために存在すると考えれば、これはまったく不思議なことではありません。むしろ、ベネフィットを考えず、目の前に存在する製品ばかりを見ているため、これらのつながりが見えてこないのです。実際に使っている製品だけに囚われないためには、その製品を「何のために使っているか」を考えることが必要になります。
 
ベネフィットを深く考えれば、モノとモノの意外で重要なつながりが見えてきます。
そして、それが明日のビジネスに役立つと思うのですが、いかがでしょうか。

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