社長支持率のススメ


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アメリカには、議会の支持率調査があるのをご存知だろうか。
 
最近では、2012年1月のロイターの記事(米国民の議会不支持率が84%に、過去最高更新=調査)で取り上げられていた。ワシントン・ポスト紙とABCニュースによる世論調査の結果紹介で、議会の仕事ぶりを「評価する」が13%に対して「評価しない」が84%となっている。
 
議会は主張の違う同士が議論を競う場であり、結果を出せないことの責任が与野党どちらにあるかははっきりしない。それでも、議会が総体として責任を果たしているかどうかは評価可能で、そこに厳しい評価がくだされているということだろう。
 
日本の場合、議院内閣制ということもあり内閣と与党と議会の行動を別々に評価するのは難しい。しかし、それを承知で国会の支持率を取ってみるとおもしろいことになりそうだ。低い低いと言われている内閣支持率を更に下回るかも知れない。国会支持率が定期的に調査されるようになれば、善きにつけ悪しきにつけ議会の動きも様変わりするように思う。
 
何らかの手続きにより一度支持を集めた人が、一定期間責任ある立場に就くというのは合理的なやり方だ。支持が変わったからといって、すぐに人を入れ替えていたのでは組織が立ち行かなくなる。一方で、支持が変化していることは事実であり、支持率を根拠に人は変えないとしても、これを把握することに意味はある。支持率は、応用範囲が広い価値ある指標だと考えられる。
 
では、支持率を会社にあてはめることはできないだろうか。
今回はこれについて考えてみる。
 

 


社長の支持率は何%?

単純に考えれば、内閣支持率は「社長&取締役会支持率」に置き換えられる。
総理大臣に対応するのが社長、内閣の構成メンバーに対応するのが取締役会となる。支持の対象には取締役も含まれているので、これは「経営陣支持率」とするのが正しいものの、いささかまどろっこしい。社長が取締役会をリードしている限り「社長支持率」と言い換えても大差ないだろう。会社を支配している社長(たち)の方針や判断が「支持できかる」、「評価できるか」を問うことになる。
 
調査の対象者は従業員と株主だ。
ステークホルダーの発想で消費者や取引先も対象にしたいところだが、会社の実態やその中での社長のリーダーシップなどがわからないため、ただのイメージ調査になってしまう。従業員と(積極的な)株主に限定するのが妥当なところだろう。
 

・今月、◯◯社長の支持率は××%。
 株主から広く支持を集めたのの、従業員で急落。
 従業員の待遇見直しが原因で評価がわかれたものと思われる。

・△△社長はベテラン社員の支持率に比べて、若手社員の支持率が低い。
 保守的な方針への評価と考えられ、今後に心配が残る結果となっている。

などの結果が出れば、かなりおもしろいのではないか。

 
株主総会、取締役会での選任を経て就任した社長は、手続き上は株主の支持を得ていると考えられる。しかし、実際に支持率調査をしたらこれとは違う結果が出てもおかしくない(株数ベースで算出したとしても)。適任者を選ぶ手続きと、その選ばれた人の直近の行動をどう評価するかには乖離があって当然だからだ。
 
あまりかしこまらず、人事評価とは切り離した人気投票に近いような調査をすれば、意外に会社や経営陣が置かれている現状がわかるように思う。
 


従業員や株主の支持をセカンドオピニオンに!

もちろん、社長の仕事は従業員や株主の人気を取ることではない。
 
時には、雇用面などで従業員に対して厳しい判断を下す必要もあるし、株主が想像していないような将来を考えて先行投資をしなくてはいけないときもある。直近の支持率に一喜一憂して意思決定がぶれるような社長だったら、むしろ心配だ。
 
それでも、社長は従業員や株主の支持を知った方がいい。
国家でも会社でもトップというのは案外孤独なものだ。完全に孤独な状態で行動できるならそれはそれでいいが、実際には取締役や幹部などの狭い人間関係の中で判断に迫られることも多い。そこに危険がある。視野狭窄に陥りやすいのだ。
 
このような事態を招かないために、広く従業員や株主の社長支持率をセカンドオピニオンとして使っていいように思う。個人的にはかなりオススメの調査なのだが、いかがだろうか。
 


来たれ、勇気ある社長よ!

この企画の難点は、きっと社長の許可が下りないだろうことにある。
誰も自分の首を絞めるようなことはやりたがらない。だからと言って、内閣支持率のように外部機関が行なうのは難しい。
 
しかし、だからこそ、これを実行に移したら話題になるのは間違いない。開かれた会社としての広報活動にもなる。
 
勇気のある社長や会社が出現して、社長支持率調査の協力依頼が来る日を願ってやまないのだが、どこかにそういうユニークな会社はないだろうか。

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