「逆張りマーケティング」は計画的に!


この記事の所要時間: 30秒 〜 40秒程度(1779文字)


逆張りという言葉がある。
元は相場の用語で、トレンドと反対方向の取引をして「儲ける」ことをあらわすのだろうが、実際に儲かることは少ない。多勢に流されず自身の判断で売り買いをする姿勢は格好いいものの、逆配りが簡単にうまくいくわけもなく、多くの場合は損をすることになる。損の回数がいくら多くても、得するときの儲け額が大きければトータルでプラスになるとは言え、なかなかそうはならない。魅力的なアプローチに見えても、成功は難しい。
 
相場で逆張りをしている分には、失敗をしても自分が損をするのだから勝手といえば勝手だ。しかし最近は、この逆張りを口先だけで行なう人が多い。世間が景気上向きの予想なら「景気後退」と言い、人々が放射線の影響におびえていれば「放射線は健康にいい」と言い出す。世の中の動きに流されず自身の信念に基づいて冷静沈着な発言をする人がいる一方で、深く考えず反射的に反対のことを言う人もたくさんいる。他人と違うことを言えば目立つからだ。「良い逆張り」と「悪い逆張り」が混在しており、これを見抜かないと間抜けなことになり兼ねない。
 
さて、マーケティングの世界でも逆張りの発想は多用されている。
そして、ここでも魅力的なアプローチながら成功は難しく、「良い逆張り」と「悪い逆張り」が共存している。今回は、不幸な結果を招かないための「逆張りマーケティング」を考えてみた。
 

photo credit : JLA Kliché via photopin cc

 


差別化とは、他社と違う「価値」のこと


他社との差別化を目指す中で、究極のところに逆張りがある。

ライバル会社がどこも小さな携帯電話を目指しているなら、「小ささ」に加えて「使いやすさ」や「見た目の格好よさ」といった別の競争軸を導入するのが差別化の王道だろう。しかし、そこであえて「小さな携帯電話がいい」という価値観を疑って、大きな携帯電話を目指すのが逆張りだ。うまくはまった場合、他社の商品と比較して究極の(?)差別化商品となるのは間違いない。
 
企業がなぜ逆張りをしたがるかと言えば、それはひとつに目立つからだ。
目立てば企業や商品の認知率が急上昇し、認知率が上昇すればそれに連動して売上が向上するというストーリーは極めてわかりやすく、魅力的に見える。
 
しかし、ここに落とし穴がある。
差別化の本来の意味は、他社と違う価値を提供することであり、他社と違えばいいというものではない。他社と違うことが何らかの価値を生まなければ「珍しい」だけで終わってしまうのだ。この場合、認知率が上昇しても売上は伸びない。この当たり前のことが忘れられると、不幸な結果を招くことになる。
 
実際、世にある差別化の失敗例の多くは「ただ差別化しただけ」の商品だ。奇を衒っただけでその差別化の「価値」を示せなければ、失敗して当然と言えよう。このとき、「目立つ」が手段から目的に転じてしまっている場合も多い。
 
究極の差別化である逆張りにも、これはあてはまる。元々の発想にギャンブル的な発想が見え隠れすることもあり、逆張りではこの失敗の比率が特に高いようだ。「逆張りマーケティング」は一筋縄ではいかない。
 


その逆張りは「誰に」「どのような」価値を提供する?


新しい商品のコンセプトを考えるときに逆張りの発想で考えるのは悪くない。既存の価値感を違うことは、新しいものを生み出すために欠かせない思考方法だろう。アイデア抽出の段階では、逆張りはかなり有効なツールだ。
 
しかし、実際に商品を売る段階では、その「新しさ」「珍しさ」が生み出す価値を示す必要がある。「大きな携帯電話」ならば、ボタンが押しやすい、画面が見やすいなどだ。その逆張りが、「誰に」対して「どのような」価値を提供できるかを明らかにしてこそ、「逆張りマーケティング」が成立する。
 
安易に逆張りに走るのではなく、その価値を明確化して計画的に運用することが必要だ。そこまでやってこそ、真の「逆張りマーケティング」が可能になる。

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