なぜスタバはコーヒーの量を減らしたのか?


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1950文字)


スターバックスが一杯あたりのコーヒーの量を減らしたことをご存知だろうか。
 
ブルームバーグが数日前に報じたもので(参考:スターバックスがコーヒーの量を減らしていた-不満の声も)、スターバックスはコーヒー減量の理由を「容器いっぱいに注ぐとこぼれやすく、またミルクを入れるスペースがないなどとの指摘に応えたもの」と説明している。ただし、「今回のコーヒーの量の改定は日本のみ」なので、こぼれやすいという理由付けにはかなりの無理がある。日本人だけ、こぼしやすいとでも言うのだろうか。
 
容量変更の説明も後手に回った。
当初、何も告知せずにコーヒーを減量し、ブルームバーグの指摘を受けてから告知を始めたらしいのだ(参考:スターバックス:コーヒー減量、国内全店で告知始める-報道を受け)。事前に、目立たないようにでも告知しておけばこんな書かれ方をすることはなかっただろうから、広報の失敗と言えよう。
 
業績好調のスターバックスだけに、批判的に見る人も多い。
そんな中で、この手のことをすれば必要以上に叩かれる可能性がある。今回は取り上げたのがブルームバーグだったので大した広がりはなかったが、テレビや週刊誌に興味本位で取り上げられていれば大騒ぎになった可能性も高い。そうなると、ブランドイメージが傷付き兼ねない事態になる。
 
では、なぜスターバックスはそこまでしてコーヒーの量を減らしたかったのか。
今回はこれを考えてみる。
 

photo credit : osamukaneko via photopin cc

photo credit : osamukaneko via photopin cc

 


コスト削減効果は微小


コーヒーを減量することの効果として、誰もがまず思い浮かべるのがコスト削減だろう。しかし、これは的外れのようだ。
 
今回、スターバックスは「従業員向けのガイドラインを改定し、ショートサイズのコーヒー(300円)の場合、これまで容器の最上位から6ミリの高さまで注いでいたのを15ミリにまで減らすよう通達」した。まどろっこしい書き方をしているが、一体どのくらい減ったかといえば、次のように計算できる。
 
スターバックスのホームページなどによればコーヒーショートサイズの容量は240ccで、マグ自体の容量は260cc。と言うことは、6ミリ分が20ccだから、今回減量した9ミリは30ccに相当する。240ccが210ccに減ったわけで、削減率にすると12.5%になる。上部の隙間を少し広げたくらいでは容量に大きな変化はないように思ったが、実は案外減っているのだ。
 
とは言え、コーヒーの原価は安い。
30ccに必要なコーヒー豆の量は、スターバックスのホームページにある「180mlの水に対して10g」で換算して1.67gに過ぎない。スターバックスのコーヒー豆は1gあたり5円程度だから約8.3円のコスト削減ということになる。しかし、これは市販価格なので、実際のコスト削減は5円にも満たない微小な金額だ(感覚的に言えば2〜3円)。
 
もちろん、コストは1円でも削減できた方がいいし、塵も積もれば山となるのでスターバックスの売上規模を考えれば大きなコスト削減になる可能性はある。しかし、コストに大きく影響を与える要因は他にも人件費、店舗の賃料などたくさんあるし、コーヒー豆の価格だって気候、為替、原油相場で大きく変動する。イメージを落とし兼ねない危険を犯してまで、この部分のコスト削減をすることは考え難い。
 


コーヒーをこぼすのは汚らしい


では、どうしてスターバックスはコーヒーの容量を減らしたのだろうか。
 
案外、スターバックが説明している通り「容器いっぱいに注ぐとこぼれやすく、またミルクを入れるスペースがないなどとの指摘に応えた」のではないだろうか。ただし、それはお客のことを気遣っているだけでなく、コーヒーをこぼすのは汚らしいからだと考えられる。
 
コーヒー店は、競争要因としてイメージの占める割合が大きい。
コーヒーの味や量よりも、店舗イメージが店選びの大きなファクターとなる。その中で、スターバックスはよいイメージを形成し、まさに先頭を走ってきた。
 
現在のスターバックスに、肩を並べるようなライバルは出現していない。
とは言え、以前のように独走している印象もないだろう。このとき、強化すべきはイメージだ。お店のイメージを重視するあまり、「汚らしい」を避けたいと考え、コーヒーを減量したというのは有り得る話のように思う。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.