ものづくりの敵はネット・バカ?


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1831文字)


ナショナル・アンプラグデーをご存知だろうか。
実は、自分もつい先日知ったばかりなのだが、「3月最初の金曜日の日没から、翌日の日没までの期間をネットなしに過ごそうという」試みのことらしい。その目的は「日々の忙しさから抜け出し、ネットから離れて、じっくりと考える時間をもち、のんびりと出かけて、親しい人とゆっくりした時を過ご」すことだ(参考:ネットに繋がらない「オフの日」を実践する「ナショナル・アンプラグデー」|TechCrunch JAPAN)。
 
インターネットやスマートフォンの急速な浸透で、人々の生活は大きく変化した。もちろんプラスの効果もあるが、そこにはマイナスの影響もある。情報がネットから恒常的に入ってくることで集中力が途切れてしまい、作業や考察のレベルが下がるネット・バカがその典型だ(ネット・バカについて詳しく知りたい人はネット・バカに気を付けろを参照のこと)。
 
ネット・バカの影響はかなり広範囲に及ぶため、少しでも自覚のある人は早めに対処した方がいい。そして、アンプラグデーは、究極のネット・バカ対策と言えるだろう。何せ物理的に遮断してしまうのだから、対処に抜かりがない。
 
アンプラグデーは少し大袈裟だとしても、依存を抑えるためにネットとの距離を保つ試みは有効だ。もしかすると、ものづくり復活のキーポイントになるかも知れない。
 

photo credit : Kevin Steinhardt via photopin cc

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情報収集も量から質の時代に

少し前までは、ビジネスにおいて「素早く」、「大量」の情報を集めることが重要とされてきた。しかし、ここ十年程度で情報を巡る環境は大きく変化してきている。リアルタイムで苦労なしに手に入る情報があまりに多くなったため、「素早く」、「大量」の価値は低くなってしまった。
 
作業中でも頻繁に届くメール、引っ切りなしにアップロードされる数々のニュース、どうしても気になる他人のつぶやきやいいね!。これらに「素早く」、「大量」に接することが差別化になるという考えは、一つ前の時代の価値観だ。今やそんなことは誰でも簡単にできる。
 
しかし、人間には前の時代の価値観を引きずる癖がある。時代の変化に合わせて価値観を変えることは容易では無いのだ。その結果、未だに少しでも「素早く」、「大量」の情報を集めようとしてしまう。
 
確かに情報を集めることは役に立つ。
しかし、そのために情報収集の量と頻度を増やし過ぎたら、それに伴う時間の浪費や集中力の低下で割に合わなくなる。現代では、情報収集活動にも費用対効果の発想が必要なのだ。この向上ためには、適度な量と頻度の情報収集、そして収集する情報の質の向上が求められる。
 
情報収集活動の費用対効果を上げるためには、常時のメールチェックやニュースチェックは不要だろう。仕事に役立つ情報収集という目的のために必要となる手段は、日々変わってくる。無自覚に「素早く」、「大量」の情報を目指していては今やネット・バカになってしまうのだ。
 


ものづくりにも悪影響が・・・

最近、電話をしながら関係ないホームページを検索したり、会議の途中にメールを打ったり、何ごとにも集中しない人を多く見かける。誰もが忙しい時代に一度にいくつもの作業を並行して行えるなら素晴らしいが、多くの人はマルチタスクなどできやしない。できているように装っていても、実は作業の質が下がっている。そんな状態で、果たしてよい作業ができるのかと思うが、どうやらこの「無駄に忙しい状態」を充実と勘違いしている人が多いようだ。
 
作業の質が下がれば、できあがる完成品の質も低くなる。それが企画であれ、実際の商品であれ、同じことだ。当然、ものづくりの各作業にも影響が出る。すべてをネット・バカのせいにするのは安直だが、看過できない事態なのも間違いない。戦後の日本人が持っていたといわれる必死さ、そしてそこから生まれる集中は、ネット・バカの対局にあるものと言えよう。
 
何もかも「昔が良かった」とは言わないが、時には、ネットを物理的に遮断して昔の生活に戻るのも良いのではないだろうか。

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