エクセル書類は計画的に!


この記事の所要時間: 620秒 〜 720秒程度(3379文字)


Togetter(トゥギャッター)で、公務員が公開するネ申Excelが日本の生産性を落としている話というまとめが話題になっていた。世にトンデモなエクセル書類が溢れており、その迷惑を被っている人が多いからこそ、こういうまとめが注目を集めるのだろう。
 
以前、このブログで読み・書き・エクセル、・・・でいいのか?という記事を書いたことがある。読み・書き・そろばんを現代風にもじったもので、今どきのビジネスマンにとってエクセルのリテラシーはそのくらい欠かせないと考えて付けたものだ。それなのに、世の中には“神”と呼びたくなるほど困ったエクセル書類がたまだまだくさんある。
 
確かに、エクセルの使い方は百人百様に見える。
誰もが、多かれ少なかれ我流の使い方をしているのだ。読み・書きと違って歴史が短く、学校等で習ったとしてもその内容がバラバラだからだろう。また、エクセルの使い方を教えるといっても表面的なノウハウがほとんどで、表計算ソフトの仕組みや真の価値を伝えるのは案外難しい。
 
その結果、トンデモなエクセル書類が巷に氾濫することになる。
冒頭に紹介した記事は「日本の生産性を落としている」という高所からの指摘だったが、もちろん自社や自分に関係ない話ではない。日本の生産性は個々の企業や個人の生産性の集合なのだから、中小企業の生産性にもエクセルの出来不出来が影響を与えていることは容易に想像が付くだろう。
 
では、どのようなエクセル書類をつくったらいいのか。
今回はこれについて考えてみたい。
 

photo credit : Christopher S. Penn via photopin cc

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はじめに表ありき


エクセル書類をつくるときは、まず、最終的にどんな表をつくりたいかを考えることが重要だ。何をつくるにしても、この最終形を起点に考えることになる。
 
ここで表とは、縦軸(表頭)と横軸(表側)を決めて、そのクロスするセルに該当する値を入れたものを示す。値は、質さえ揃っていれば、数値でも、文字でも、画像や動画でも構わない。どんなエクセル書類をつくるときも、表頭と表側の組み合わせで形づくられる表が基本になる。はじめに表ありきだ。
 
例えば、表側に生徒一人一人の名前を入れて、表頭を身長、体重、座高、胸囲、・・・とすれば、生徒の身体測定結果の一覧表ができる。表側を一つ一つの取り引きにして、表頭に日付、相手先、商品名、個数、売上、・・・を置けば取り引き一覧となる。横軸に会社の戦略を記入して、縦軸に日付を入れればスケジュール表のでき上がりだ。
 
ただし、最後に例示したスケジュール表の場合には、クロスするセルに何を入力するかを事前に決める必要がある。具体的なジョブを入れるのか、達成目標を入れるのかで、表の意味付けが大きく変わってしまうからだ。ここを合意しないままでいろいろな人の手が加わると、収拾の付かないことになる。
 
軸が3つ以上になった場合は、少し工夫する必要が生じる。
①取引先別、②商品別、③年度別で売上高を表にしたいとしよう。取引先を表側に、商品を表頭にすれば、どこの取引先でどの商品がどれだけ売れているかがわかるが、年度別をどうするかで行き詰まる。比較したい期間が2〜3年程度なら、表側に年度も入れてしまう方法もあるが、10年分のデータを見たいとなるとそうは行かない。もし、売上高の時系列推移を見たいのなら、表頭に年度を入れる必要が出てくる。表側に商品、表頭に年度を置き、取引先別にいくつも表をつくることになるのだ。
 
当然ながら、表頭と表側の取り方に正解はない。目的に応じて決めることになる。しかしそれでも、表をつくる前に表頭と表側を頭の中で決めておくことが大切だ。その場しのぎの作業でここを手抜くと、トンデモない表ができあがってしまうことになり兼ねない。まず必要となる表を考えることが先決なのだ。
 


入力フォーマットをつくるなら・・・


多くの人に同じフォーマットで書類をつくってもらいたい時にも、エクセルは活躍する。エクセルのそもそもの利用方法とは異なるためこの使い方を毛嫌いする人もいるが、実際にそのように使われているのだからここでも賢いエクセル活用が求められる。この作業のポイントは2つだ。
 
ひとつに、一覧表をつくるのに必要なセルをコピーアンドペーストしやすくしておくことだ。求人の応募用に統一フォーマットの履歴書を用意するとしよう。応募した人それぞれの経歴等を知るためには1枚1枚の履歴書を見れば充分だが、それとは別に応募者の一覧も必要になるだろう。この時必要な情報が、氏名と年齢と連絡先メールアドレスだったら、それらをコピーアンドペーストしやすいようにしておくことが重要になる。おかしなセルの結合をしたり、飛び飛びのセルにこれらの情報が散らばっていたりすると、後の作業が厄介になってしまうからだ。
 
また、情報集約用に別シートを用意しておいて、必要な情報だけをまとめるようにしておいてもいい。別シートの表頭には必要となる情報を並べて置き、データは1人1行とする。「=」関数を使って、氏名欄には【履歴書】シートのA1を持ってくる、年齢欄にはB3を持ってくると仕掛けておくのだ。こうすれば、データの集約が簡単に行なえることになる。これを仕掛けても単純作業が残るので馬鹿馬鹿しいようだが、100人単位のデータを扱うなら作業量が大違いだ。
 
またこれは、上で示した表ベースの考え方をフォーマットに応用していることになる。最終形を見据えることは、フォーマットづくりでも重要だ。
 
入力フォーマットでもう一つ重要なのは、入力者への配慮だ。
例えば、欄の名前といくつかの選択肢だけが並んでいるフォーマットをよく見るが、あれなどはどうしていいかわからない。紙の書類の発想で考えるなら○印を付けることになるが、不要な部分を消すというやり方もあるだろう。後の情報活用を考えるなら、不要な部分を消したほうがいいように思うが、選択肢が多くて複数を選ぶ場合などは、消し込みをしては視認性が下がるようにも思える。
 
また、与えられた欄の大きさが、求めている情報に比して狭い、広い場合も多い。この場合、行幅、列幅、フォントサイズを変更していいのか迷ってしまう。
 
いずれにせよ、入力者のことを考えて、適切な欄を設定する、入力方法について指示を出す必要があるのだ。
 


エクセル書類は計画的に!


エクセルは直感的な作業が可能で使い勝手がいいため、ついつい勢いで書類をつくってしまうことになる。
 
しかし、エクセル書類はそのデータを再利用することも多く、いい加減なエクセル書類は業務効率にかなりの悪影響を与える。このため、エクセル書類は計画的につくることが必要だ。少なくとも、繰り返し活用するような業務のキーとなるエクセル書類の作成には細心の注意を払わなければならない。時には、専門家や社内のエクセル好きに師事を仰ぐことも大切だ。我流で行なうにはリスクが大き過ぎる。
 
また、社内にエクセル情報交換会のようなものを設けるのも一案だろう。エクセルで困っていること等を互いに持ち寄って、話し合うのだ。エクセルの知識は人によってさまざまなため、かなりの使い手が常識的なことを知らなかったり、あまり使えないはずの人が予想外の知識を持っていたりする。この差を埋めることが、業務改善に役立つ。
 
エクセルは、現場に最も近いところにあるデータ活用ツールだ。
データの専門家だけでなく、多くの人が使うことになり、そのレベルのコントロールは難しい。しかしだからこそ、エクセルのうまい使い方を社内に浸透させることは、会社の差別化になる。この部分の改革は一朝一夕には行かないが、エクセルに強い人を先頭にエクセル力のレベルアップに取り組むことは、会社の業務改善に極めて有効だ。

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