腹から「うん」と言わせるために・・・


この記事の所要時間: 40秒 〜 50秒程度(2224文字)


「わかりました」には二つの意味がある。一つは理解、もう一つは納得だ。
 
何かを説明したときに、「わかりました」と答えられると、「理解したの? 納得したの?」と聞き返したくなる。言外のニュアンスを読み取るのが日本語なのかも知れないが、ここを曖昧にして先に進むと命取りになり兼ねない。
 
理解と納得の違いは、そのくらい大きい。
理論を学ぶならば理解するだけで充分かも知れないいが、現場での実践を考えた場合はそれに加えて納得が必要になる。それどころか、納得さえすれば理解なんてどうでもいいと言っていい程だ。たとえ理解しても、理解しただけでは人はなかなか動かない。だからこそ、腹から「うん」と納得させることが重要になる。
 

photo credit : Visionello via photopin cc

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頭で理解させ、腹から納得させる


さて、なぜ唐突にこんな話を書きはじめたかといえば、最近ちょっと気になる記事とツイートを見かけたからだ。
 
まずはこの記事。

英開業医のほぼ全員「気休めの薬」処方経験あり|AFPBB News
【3月24日 AFP】英国の一般開業医の約97%が患者に「気休めの薬」を出しており、しかも75%が「少なくとも週1回」はそうした処方を行っていることが調査結果で明らかになった。

21日に発表されたオックスフォード大学(Oxford University)とサウサンプトン大学(University of Southampton)の合同チームが一般開業医783人に行ったインターネット調査によると、医師の大多数が偽薬や有効性の証明されていない治療法を用いたことがあると回答した。〔後略〕

 
記事が長いので冒頭のみの引用にとどめたが、つまりは医者が患者を納得させるために不要な処方を行なっているということだ。医者が「病気ではない」、「病気はもう治った」と判断しても、それを患者に納得させる必要があり、それが難しいのでこんなことが行なわれるのだろう。
 
もう一つはこのツイート。


 
これも同じように捉えることができる。パソコンが治ったかどうかよりも、素人である依頼主が治ったと納得することが大切なのだ。
 
これらの話は、佐々木がよく持ち出す存在と認識の違いで考えるとわかりやすい。
大切なのは身体やパソコンが治ったという事実(存在)ではなく、やりとりする相手の納得(認識)なのだ。存在として治っていても、認識として治ってなければ片手落ちなので、実践の場では「頭で理解」と「腹から納得」の両方が必要になる。
 


コンサルティングも、マーケティングも


もちろん、マーケティングにおいてもこれは一緒だ。
商品を買ったお客さまに購入したことについて納得いただいて、はじめてリピーターが生まれる。ここで、「良いものが売れる」は理解の発想、「欲しいものが売れる」は納得の発想と言えるだろう。「良い」よりも「欲しい」が重要なのは言うまでもない。
 
コンサルティングとて同じこと。お客さまがこちらの言葉に納得した上で行動しなくては、成果は生まれない。素晴らしい論理が展開された報告書をつくろうと、それをお客さまが腹から「うん」と思い実行しなければ画餅に帰してしまうのだ。
 
つまり、コンサルティングをするにはビジネスについての知識だけではいけないのだ。相手が「うん」と言いやすいアイデアをつくることが重要なポイントになる。
 


腹落ちに必要なのは信頼、根拠、情熱?


では、相手が腹落ちして「うん」と言うために必要なものは何だろうか。
 
正直言って、それがわかるくらいなら教えて欲しいのだが、自分の経験からすると信頼、根拠、情熱の3つとなる。

 
まずは信頼。
これは誰でも頷くだろう。相手と心を通じ合わなければ、腹から「うん」と言ってもらうことは難しい。巷のマニュアル本などにある表面的な人づきあいではなく、一人の人間として真正面から向き合うことで得られる信頼が必要になる。
 
次に根拠。
やはり、何を説得するにしても、事実とデータに基づいてしっかりと論理を組み立てることが重要だ。雰囲気や勢いで説得をできることもあるが、根拠が薄弱だと効力が弱くなる。どこまで細かく説明するかは別にして、しっかりしたロジックを築かなければならない。
 
最後に情熱。
これはやや精神論になるが、自分が発する言葉に重みを持たせるために必要になる。理論だけを教える先生でないのなら、その内容を自らも心から信じ、それをメッセージに込めなくてはならない。ここが欠けると、ただの空回りになってしまう。
 
これらによる腹落ちの実現は「言うは易し」の典型かも知れない。しかしそれでも、納得を生み出すためにできるの限り力を使う必要がある。何せ、この納得させることこそがビジネスの醍醐味なのだから。

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