副都心線が大盛況 → 日比谷線はどうなった?


この記事の所要時間: 350秒 〜 450秒程度(2172文字)


東急東横線の相互乗り入れで、東京メトロ副都心線が大盛況という記事があった。
 

東急相互乗り入れで「新宿三丁目」は休日8割増 メトロ副都心線が大盛況|MSN産経ニュース
 
東京メトロは28日、副都心線と東急東横線で16日から始まった相互直通運転で、池袋、新宿三丁目、明治神宮前の主要3駅の平日の利用者数が4割増加したと発表した。休日では新宿三丁目が8割増、池袋が6割増、明治神宮前が5割増となった。

副都心線は西武池袋線、東武東上線と相互乗り入れ済みで、埼玉県西部から渋谷や新宿を経由し、横浜方面まで乗り換えなしで行けるようになった。平日は主に通勤・通学の利用者がJRから移行。休日は百貨店など沿線の施設が集客したとみられる。

相互乗り入れにより東京メトロは、副都心線の利用者数がこれまでの36万人から44万人に増えると予測。ただ増収分が業績に与える効果は、「(高騰している)電気料金と相殺されて横ばいになる」(奥義光社長)という。〔略〕

 
この記事を素直に読めば、東京メトロの戦略が的中したように受け取れる。しかし、このような発表を鵜呑みにしていいかは、また別の話だ。ものごとには光と影があると考えることが、この手の記事を読むときには欠かせない。
 

photo credit : Gilderic Photography via photopin cc

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大本営発表とアナウンス効果


まず、東京メトロがこのような発表をした意図を推察すると、成功をイメージ付けることによるアナウンス効果を狙っていると考えられる。この発表によって、「それなら、わたしも」と思うフットワークのいい人たちを刺激している訳だ。
 
何らかの戦略が成功したという発表を聞いて、「本当かよ!」「大本営発表じゃないの?」とツッコミを入れるのは野暮な輩だけかも知れない。多くの人は素直に受け止め、その成功を共有する。もちろん、普通に生活する中では、その方が幸せだ。
 


暖かくなれば人出は増える?


さて、野暮な輩がこの記事を読んで最初に気になったのは、何と比較して増加しているかが示されてない点だ。この記事では、相互乗り入れ直前の時期と比較したのか、前年の同じ時期と比較したのか、最近1年間の平均と比較したのか、はたまたそれ以外の比較方法なのかがわからない。
 
データは何と比較するかによって、その意味が違ってくる。
もし、相互乗り入れ直前の時期と比較したのなら、季節変動の影響を受けている可能性が高い。暖かくなってくれば、人出が増えるのは当然だからだ。年度末に近付くことで忙しくなり、移動が増えた可能性もある。
 
一方、前年の同じ時期と比較したのなら、自然増がどのくらいかを考えた方がいい。開通してから年数が経っていない路線は、年々利用者数が増えると想像されるからだ。東横線の相互乗り入れがなくても、利用者が自然に何割か増えて不思議はない。そして、最近1年間の平均と比較した場合は、季節変動と自然増の両方を考慮する必要がある。
 
厳密に考えるのなら、相互乗り入れ直前の①2013年3月8日〜14日、②直後の2013年3月15日〜21日、前年の同時期同曜日である③2012年3月9日〜15日、④2012年3月16日〜22日の利用者を算出し、①から②への増加率と、③から④への増加率の比を求めるのが妥当だろう(本来もっと長期間で比較した方がいいが、速報として・・・)。しかし、この記事では東京メトロがそこまで良心的かは、わからない。
 


日比谷線はどうなった?


もう一つ考えたのは、マイナスの影響についてだ。
副都心線への相互乗り入れと同時に、日比谷線への乗り入れを止めたのだからそれについてもデータを開示しなければ片手落ちな印象がある。常識的に考えれば、相互乗り入れの変更だけでこれ程の人出が増えるとは考えにくい。新宿三丁目駅を利用する人が増えたなら、どこかの駅を利用する人が減っていると考えるのが当然だろう。
 
今回の発表はあくまでPRと考えられるので、マイナス部分を発表しないことは珍しくない。しかし、このマイナス部分も含めて考えることが、時として必要になる。
 


隠されたデータを考えよう!


故意か過失かは別にして、多くのデータ公開には隠されたデータが付きものだ。企業が自社の広報活動をするときに、すべての情報を開示する必要はない。広報活動と位置づける限り、自社に都合いいデータを優先的に発表するのは当然だろう。
 
しかし、世の中の動きを少しでもしっかり知りたければ、この隠されたデータの存在を考える必要が生じる。少なくともビジネスで成功したいなら、事実をなるべく正確に把握することが求められるのだ。相手が発表するデータだけを鵜呑みにしていたのでは、モノの見方が一面的過ぎる。
 
何らかのデータがあったら、その裏側を考えることが大切だ。
あなたがいま目にしているデータには、隠された部分がないだろうか?

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