国民栄誉賞をどう選ぶ?


この記事の所要時間: 440秒 〜 540秒程度(2557文字)


長嶋茂雄と松井秀喜のダブル受賞を受け、国民栄誉賞がどこかしこで話題になっている。
二人の受賞を素直に喜ぶ人もいれば、この二人よりも◯◯さんの方が適当だと言い出す人もいるようだ。両氏に罪はないのに、二人を批判する輩さえ見受けられる。
 
さて、そんな中、国民栄誉賞を受賞して欲しい日本人ランキングというアンケート結果を目にした(注:本来、国民栄誉賞の受賞に日本人という条件はない)。株式会社ゲインが運営するRanking★Penguinというサイトのデータだ。今回の受賞者がプロ野球選手ということもあってか、イチロー(以前、受賞の打診を受けたが辞退)がダントツで、野茂英雄が続く結果となっている。アンケート方法の詳細がわからないので滅多なことは言えないが、これはこれでひとつの国民の意見と捉えることができるだろう。
 

 国民栄誉賞を受賞して欲しい日本人ランキング(株式会社ゲイン調べ)  
  1位 イチロー   33.4%
  2位 野茂英雄   8.3%
  3位 山中伸弥   4.3%
  4位 北野武    3.1%
  5位 三浦知良   2.8%
  6位 明石家さんま 2.5%
  7位 手塚治虫   1.8%
  8位 中村勘三郎  1.5%
  8位 小澤征爾   1.5%
  8位 北島康介   1.5%
  8位 高倉健    1.5%
  8位 浅田真央   1.5%

 
考えてみれば、国民栄誉賞とは不思議な制度だ。
賞の名前に「国民」と入っているのに、国民ではなく政府が選ぶのだから座りが悪い。実際に選ばれた人が適当か、政治利用されてないかなどの議論を別にしても、しっくりこない人が多いだろう。この何とも言えないおかしな感じは、すべて国民栄誉賞というラベルとその選考方法がフィットしていないことに起因すると考えられる。
 
そこで、はばかりながら、国民栄誉賞の名に見合った選考方法を考えてみた。
 

photo credit : jpellgen via photopin cc

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二段階のアンケートで選べば・・・


当然、ここで活用するのはアンケート調査だ。
とは言え、ただ単に「国民栄誉賞にふさわしいのは誰ですか」と質問するだけでは民意を正しく反映した人選はできない。しっかりとした設計が必要になる。予備アンケートと本アンケートの二段階で行なうのが適当だろう。
 
まず、考える必要があるのは、選択肢づくりだ。
質問する側が勝手に思い浮かべた国民栄誉賞にふさわしい人を選択肢にして調査すれば、その人選自体がバイアスになってしまう。このバイアスを避けるために、自由回答で予備アンケートをすることが必要になる。
 
この段階は、あくまで人選のための調査なので厳密なサンプリングは必要ない。この時点の結果に多少の偏りがあっても、その部分は本アンケートで修正される筈だからだ。例えば、年齢別にして、10歳代、20歳代、・・・、70歳代、80歳代以上についてそれぞれ男女100人ずつ、計1,600サンプルもあれば充分だろう。このアンケートで出てきた名前を名寄せして、一定以上の回答数を集めた人を選択肢にすればバイアスは少なくなる。時期的・時季的な偏りを心配するなら、質問文に「1960年代に活躍した人で・・・」「1990年代に活躍した人で・・・」などを入れたり、事前アンケートを何度か繰り返したりすればいい。
 
大変な作業のように思うかも知れないが、回答を電子化さえしてしまえばそこまで手間は掛からない。エクセルでできるレベルの作業だ。高齢層以外は、最初からインターネット調査を使う方法もある。実は、以前こういう作業をしたことがあるが、5,000人が平均2〜3個回答したデータでも1〜2時間で片付けられる。回答の多い人を見付け出すことが目的なので、表記のブレなどへの配慮が最小限で済むからだ。
 
これで選択肢ができれば、後は二段階目として、しっかりとサンプリングした集団に本アンケートをするだけだ。そうすれば、おのずと民意を反映した国民栄誉賞候補が見つかるだろう。
 


質問文が難しい?


ただ、どういう質問文にするかは悩むところだ。
 
「国民栄誉賞にふさわしいのは誰ですか」という質問文では、あまりに直接的過ぎる、堅苦し過ぎるからだ。「国民が栄誉と思う人」を噛み砕いた質問にする工夫が必要だろう。「その人を日本の誇りだと思う」とか、「自腹でも金一封を出したい」とか、「一緒に晩飯を食べて話をしてみたい」とか、なかなか良いものは思い付かないが、一工夫した質問文の方が「国民が栄誉と思う人」に近付く筈だ。
 


キーワードはフィット


さて、上記の方法は一例に過ぎないが、国民栄誉賞はそのラベルと選考方法をフィットさせれば、今より価値が上がるだろう。賞のポジションが明確になるからだ。何ごとにおいても、計画の趣旨やラベルと、そのための仕組みをフィットさせることが重要になる。
 
例えば、顧客満足を理念としている企業において、売上高だけが素晴らしい社員に社長賞を出すのはおかしいだろう。社員とともに日本を豊かにすると言っている会社が、サービス残業をさせていたのでは噴飯物だ。
 
計画のラベルと仕組みがフィットしないと、計画の形骸化が進行する。
企業内の数々の計画について、何かおかしいと思ったら、ラベルと仕組みがフィットしているかを疑ってみるといい。フィットしてないなら、ゼロベースで見直しすることをオススメする。
 
そして、もし見直しさえもかなわないのなら、そんな計画に価値はない。
これまでのしがらみや、社内の力関係で成り立っているだけだ。実務においてはもろもろむずかしい部分もあるが、敬して遠ざけるに越したことはない。

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