埼玉県庁舎補強工事に見る正しい節約の難しさ


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2064文字)


こんなツイートを見掛けた。


これが、たくさんのリツイートやお気に入りを集め、2ちゃんねるにまで飛び火している(参考:【画像】埼玉県庁舎の耐震補強が凄いと話題に|暇人速報)。見た目をまったく気にしていないこの建物の不自然さが、見る者の興味を惹くのだろう。自分の場合、こういう建物を見ると、どうにも落ち着かない心持ちになる。
 
このツイートや画像を見て感じたのは、節約の難しさだ。
厳しい経済環境が続き、将来への不安もある中、何においても節約するのが当然となってきている。行政も企業も個人も、フローもストックも、高価格の商品も低価格の商品も、多かれ少なかれコストを削減せざるを得ない。そして、節約ばかりを優先すると、この建物のようにバランスを欠くことになってしまう。
 
無駄なコストを掛けないことは正しい。
しかし、必要なコストまで節約するようになると、何かがおかしくなる。そして、何が必要なコストで、何が必要でないコストなのかの線引きは難しいため、「正しい節約」は常に難問だ。
 
さて、「正しい節約」をより難しくしているものの一つに、意思決定における外野の声がある。今回は、この外野の声の弊害を考えてみる。
 

photo credit : hans s via photopin cc

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生き金と死に金

何が「正しい節約」かは難しいが、明らかに「間違った節約」はたまにニュースになる。典型的なのは、大企業の社長の電車通勤だ。もちろん、社用車を減らせばコストが下がるのは間違いないものの、それは微々たるもの。つまり社外や社内に向けたパフォーマンスだが、そこまで考えてもこれは「間違った節約」と言えよう。
 
なぜなら、社長の時間が減ってしまうからだ。社長の仕事は、会社の業務について重要な意思決定をすること。時には急ぎの判断もあるし、沈思黙考が必要なこともある。電車と社用車では自由度が違うし、落ち着きも違う。社長の意思決定の精度を少しでも高めたいなら、電車通勤という判断はあり得ないだろう。
 
会社の信用の問題もある。電車通勤では、社長の安全と連絡手段が確保ができない。例えば、会社が大きな事故や事件に巻き込まれたとき、社長が電車に乗っていたらどうだろうか。連絡が取りにくく、適切な判断ができない事態になり兼ねない。場合によっては、社長本人が事故に巻き込まれる可能性もある。そんなリスク管理さえできない会社とは付き合えないという人たちが少なからずいるのだ。多少のコストを削減したとしても、これではかえって悪い影響が出てしまうだろう。
 
日本には「損して得取れ」という言葉がある。
これが意味するのは、部分的(短期的/最初)には損をしても、全体的(長期的/最後)に得するような金遣いをしろということだ。お金の使い方も近視眼になってはならず、大きな視点で生き金と死に金を峻別する必要がある。
 


外野がうるさいとバランス感覚が狂う?

自分が知る限り、経営者の多くは、金遣いのバランス感覚がよく、生き金と死に金をうまく使いわける。経営者でなくても、組織のトップになるような人たちには同様の特長が見られる。これらができたからこそ、成功を掴み取れたのだろう。本来、経営者等にとってバランスを保つことははそんなに難しいことではない。
 
しかし最近、そのバランス感覚が発揮しにくくなってきている。
行政でも企業でも、お金の使い途についてあれこれ言う外野が増えたのだ。相互監視が強まり、些細なことにさえ外野が口を出してくる。外野は責任を伴わないので勝手なことが言えるのだが、それを自覚せずに言いたいことだけ言う人たちが多い。これに気を使っていると、長期視点では生きてくる目先の損ができなくなる。そして、これが高じると、おかしな意思決定になってしまうのだ。
 
うるさい外野をどうあしらうかは、今後、経営者にとって必要なスキルとなるだろう。これは金銭面にかぎらず、意思決定全般について言えそうだ。
 


意思決定をどうするのか

独自の意思決定が難しい時代になっている。
いつでもどこでも外野の声が届き、それがインターネット等で拡散していしまうからだ。これらを無視することができず、自分が正しいと思う意思決定ができない人が増えている。
 
外野の声は外野の声として、自分の考えに基づいて意思決定し、失敗したら責任を取る。この開き直りが大切だ。みずから動くためには、この姿勢を忘れてはならない。

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