パン屋の自動精算はイシューへの近道?


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2046文字)


人気パン屋のレジはいつも混んでいる。
パンにはバーコードを付けることができないため、未だにレジを手打ちするしかなく、精算に時間が掛かるからだ。品数も多いので、パンの種類と値段を覚えるのも大変。ベテランならまだしも、新人店員がレジに立とうものなら、長蛇の列ができることになる。
 
ここに目をつけたレジシステムがBakeryScanだ。
BakeryScanを使えば、トレイに乗せたいくつものパンを約1秒でレジ入力できる。レジの上にあるカメラがパンの種類を識別する仕掛けで、画像識別技術をレジ精算に応用するのは、世界初の試みとのこと。手づくりのパンと画像認識の最新技術は不似合いのように感じるが、最新技術だからこそ一つ一つ出来あがりが違う商品に対応できるのだろう(参考:パン8個を1秒で種類と値段を自動識別してレジ精算を高速化できる「BakeryScan」|GIGAZINE)。
 
このシステムを導入すれば、パン屋の人件費削減になるだけでなく、お客の待ち時間短縮にもつながる。レジ待ちの時間が減れば、並ぶのが嫌で人気店を避けていたお客が利用するようになり、売上が更にアップすることも考えられる。機械が珍しいうちは、レジ見たさのお客が増えてもおかしくない。経費削減と売上向上が可能な、まさに一石二鳥の良いシステムと言えそうだ。
 
さて、このシステム。うまく活用すれば、一石三鳥になる。
その3つ目の効果とは、経営の本質に関わる重要なものだ。
 

photo credit : Davide Restivo via photopin cc

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戦略的業務と管理的業務の狭間で・・・


お客一人あたりのレジ時間が短くなれば、必要な店員数が減り、それを管理する経営者の負担も軽減される。つまり、経営者に時間的、精神的な余裕が生まれる。これが大きい。BakeryScanは、店頭の業務改善に役立つだけのようで、間接的に経営を大きく手助けするのだ。
 
経営者の仕事は、お店をどんなイメージにしたいか、具体的にどういう新商品を発売するか、お客をリピーターにするために何をしたらいいかなどを考えることだ。これら戦略的な業務を行なってこそ、経営者と言える。一方で、経営者の仕事には、社内の売上や人員などを管理する側面もある。これら管理的な業務は別な人間に任せたいところだが、中小企業や零細店舗ではそうはいかない。経営者は戦略的業務と管理的業務の両方を担うことになり勝ちなのだ。
 
そしてこのとき、管理的業務に注力してしまう経営者は多い。
締切や効果が漠然としている戦略的業務よりも、目の前に厳然と存在している管理的業務に夢中になってしまうのだ。それこそ、アルバイトが急に休めば、自らレジに立つ。そして、それを言い訳に戦略的業務を棚上げにする。
 
こういう経営者は、忙しく働いているように見えるし、その熱心さを評価する人たちもいるだろう。だが、経営者が管理的業務にばかり専心していては、その企業、店舗の未来は暗い。
 


同じ考えるなら、イシューを探せ!


中小企業や零細店舗の経営者が忙しいのは間違いない。
しかし、そもそも経営者がやる必要のない業務にまで手を出して、経営者にしかできない業務から目を背けることになっては本末転倒だ。経営者には経営者の仕事をしてもらわなければならない。
 
経営者は考えることが仕事だが、手あたり次第、闇雲に考えればいいというものではない。「何について考えるか」の問題設定を間違っていると、いくら一所懸命になって考えても、大した価値は生み出せない。瑣末なことについて問題解決の妙案が思いついたとしても、その効果はたかが知れている。考えるべき真のイシュー(論点、問題、課題)について考えることが必要なのだ。同じ考えるなら、適切なイシューを選択して、そこに思いを集中させることが事業や商売を発展に導く。
 
しかしながら、日々の作業に追われていると、イシューにたどり着くのは難しい。故意にせよ過失にせよ、管理的業務に逃げ込んでしまうのだ。そのことに気付いていても、管理的業務に追われている経営者も多いだろう。
 
そんなときは、新しいシステムに投資するのもひとつの手だ。
システムが、経営者の時間と心の余裕をつくる。そうすれば、イシューを見付け出しやすくなるだろう。忙しさを逃げ口上にできないよう自らを追い込むのはつらい決断だが、何ごともきっかけ無くしては動き出さない。
 
そう。パンの自動精算を導入することが、イシューにつながる近道かも知れない。
全国のパン屋さん、BakeryScanを導入して、余った時間で新商品に思いを馳せてみたらいかがだろうか。

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