名付けのススメ


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1819文字)


草食男子はいつから存在しているのだろうか。
それは、誰かが異性にガツガツしない男性を草食男子と名付けたときからと言える。もちろん、その前にも同じような人たちはいたのだろうが、名称が決まっていないとその存在は意識されにくい。「最近、ガツガツしてない男の子が多いなぁ」と思っている人がたくさんいたとしても、そのことが明確になるには何らかのラベルが必要なのだ。
 
ビジネスの新アイデアについても同様の例は多い。
「顧客の視点に立って、売れる仕組みを考え出すといい」と思う人は昔からいただろうが、それだけではなかなか伝播しない。そこにマーケティングという名前が付くことで急激に一般化したと捉えることができよう。ビッグデータだって、データサイエンスだってそうだ。その多くは今までのデータ分析の延長上にあるのに、新しいネーミングが決まったことで新規性があるように見える。
 
これらは、良きにつけ悪しきにつけ名付けの影響と言えるだろう。
 

photo credit : Alex of Gothenburg via photopin cc

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名前を付けてビジネス化!

人は漠然としたものを認識するのが不得意だ。
モノであれ、コンセプトであれ、ビジネスのアイデアであれ、抽象的な存在のままではそれを記憶すること、活用することができない。誰もが何となく似たようなアイデアを考えていたとしても、ラベルがないうちはモヤモヤ考えているだけで終わってしまう。
 

・IT技術の発展で大規模なデータが収集できるようになった

・データを新しいモデルで分析すると、今よりリッチなアウトプットが可能だろう

・専用アプリケーション等で効率的な分析環境を提供できれば、それが有望な
 ビジネスになるかも知れない

と多くの人が考えていたとしても、そのままでは伝わらない。そこにビッグデータというラベルを貼ることで、ビジネスになって行くのだ。
 
名前を決めることで、それぞれの断片的な活動やアイデアが集まりはじめ、議論も活発になる。さまざまな人間や企業が集えば、新しいアイデアや相乗効果も生まれるだろう。それぞれの実力や思惑には違いがあっても、そのビジネスが大きな期待を集められるものなら、商売になってもおかしくない。逆に考えれば、たとえ素晴らしいアイデアでも名前を付けなくてはビジネスははじまらないと言える。
 
中小企業診断士とて同じこと。
「マーケティングとアンケートとデータ分析に強い中小企業診断士」ではキレがない。これに、顧客満足コンサルタントとか、アンケートコンシェルジュとか、データ分析プランナーとかの名前を付ければ、さまざまな変化が訪れる可能性が生まれるのだ。
 
自分のビジネスを一言で説明できるなら、それに越したことはないだろう。
 


命名は大胆かつ慎重に!

とは言え、何でも名前を付ければいいというものではない。
 
骨格もはっきりしないアイデアに無理に名前をつけても、後で困るだけだ。
定義の曖昧なビジネスに膨大な期待だけを集めても、にっちもさっちも行かない状態になるのは目に見えている。それでもお金が入ってくるならビジネスとして成立しているという考えもあるが、あまりオススメはできない。ビジネスで最も大事なのは信用だからだ。
 
まず、しっかりとアイデアを煮詰めた上で、命名する必要がある。
そして、丁寧に説明すると何十文字、何百文字になるビジネスをひとつの名称で代表させるのだから、誤解されないような言葉選びをしなくてはならない。省略する部分が多くなるのだから、何を省略して、何を省略しないかを慎重に検討するのは当然だ。
 
一方で、あまりにありのままを説明する名称では、何のことやらわからない。お役所などが付ける漢字が十個も二十個並んだような名前ではいけないのだ。大胆な発想や省略がないと、良いネーミングはできない。
 
名付けはしないより、した方がいい。しかし、それを成功に繋げたいのなら大胆さと慎重さが必要になる。良いアイデアがあるなら、これを肝に銘じた上で積極的な命名に取り組んで貰いたいものだ。

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