セブンイレブンのコーヒーはどう買うの?


この記事の所要時間: 440秒 〜 540秒程度(2543文字)


セブンイレブンの100円コーヒーが売れているらしい。
先月、セブン―イレブン・ジャパンはこの「いれたてコーヒー」=「セブンカフェ」の販売目標を4割引き上げた。年間4億5000万杯、売上高にして450億~480億円。もはや数字が大き過ぎて、どのくらい凄いのかよくわからない。
 
実感できるレベルに噛み砕くと、450億円を単純に1万5千店で割って1店あたり300万円、1日に約8,000円。セブンイレブンの1店1日あたりの売上高は70万円弱なので、1%程度の売上増加を見込めることになる。最強コンビニが、こつこつ地道に売上を積み上げていっている感じだろうか(参考:100円コーヒー、販売4割増 セブンイレブンが計画上方修正|日本経済新聞)。
 
以前、コンビニやファーストフード店のコーヒー事業について、カフェ参入に本格コーヒーは必要ない!という記事を書いた。簡単にまとめると、カフェの競争軸は「快適さ」であり、これを充たせなければ「本格コーヒー」であっても新規参入は難しいだろうという内容だ。しかし、この見立てはかなりの見当違いだった。セブンイレブンの狙いは「カフェ」ではなく、「いつでもどこでも簡単に買えるコーヒー」にあったようなのだ。まさに「コンビニエンスなコーヒー」と言えよう。
 
だからこそ気になるのが「買い方がわからない」という指摘だ。
コーヒーをつくる機械はレジの横にあり、店員からは手の届かないところに位置している。そこにカップなどが置いてあるが、精算前に自分で勝手につくるのはおかしいし、カップだけをレジに持っていくのはどこか間抜けだ。レジで注文するにしても、そこにカップはない訳で、そのあと何がどうなるかわからない。「買い方がわからない」という声は自分のまわりでも数人から耳にしたし、2ちゃんねるでも盛り上がっている(参考:セブンのコーヒーの作り方分からないヤツwwww|飲食速報)。
 
もちろん、いい年した大人なのだから、欲しいなら聞くなり、試すなりすればいいのはわかっている。しかし、それが面倒くさい、億劫なのもまた確かだ。どうしても欲しい商品ならいざ知らず、「ちょっと飲んでみようかな」くらいだとこの「買いにくい」障壁は案外大きい。「また今度にしよう」、「缶コーヒーでいいや」となってしまう。
 
たとえ魅力的な商品でも、「買いにくい」が理由で売れないものは多い。
言い換えれば、「買いにくい」さえ取り除けば売れる商品もたくさんあることになる。どうして、こんな不幸な事態になってしまうのだろうか。
 

photo credit : ~*Leah*~ via photopin cc

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「わかって当たり前」はもっての外


これと似たような話として、十勝バスの事例がある。
バスに乗らない理由を十勝の住民にたずねたところ、「乗り方がわからない」という答えが返ってきたというのだ。前と後のドアのどちらから乗ればいいのか、料金はどうやって払えばいいのか、慣れていなければ確かにわからないだろう。バスには「前乗り・前払い」などと書いてあることが多いが、不慣れな人には何のことかわかる筈もない。バス会社の側から見れば「わかって当たり前」のことを住民は知らず、それが十勝バスの不振を招いていた訳だ。
 
この例からもわかるように、多くのお客はほとんどの商品に対して消極的であり、企業側が常識と思うことを驚くほど知らない。わざわざ人にたずねるくらいなら、「そんな商品は買わない」ともなる。企業の中には「お客のことはよく知っている」という人がいるが、その多くはわかったつもりになっているだけだ。企業側の常識をお客に当てはめて考えているだけで、お客側の常識には見向きもしない。
 
企業とお客。この両者の違いはあまりに大きい。
「わかって当たり前」などと考えるのはもっての外。お客について考えるのではなく、常にお客の立場で考える必要があるのだ。お客のことがわからなかったら、時にはお客に直接聞いてみるのもいい。それこそが消費者理解の第一歩だ。
 


買い方がわかるようにするのも「おもてなし」


さて、行なうべきはどんなお客にも買い方がわかるような過不足のない説明をすることとなる。基本的には、お客が「すること」と「その結果起きること」を時間順に整理すればいい。「その結果起きること」は、自明ならば省略も可能だ。
 
セブンイレブンのコーヒーの例なら、

 ①レジでコーヒーを注文する
 ②コーヒーの代金を支払う
 ③自分でコーヒーをつくる

とすればいい。
 
説明が簡単にできないなら、そもそもの手順がうまくできてない証拠だ。先入観を捨てて、手順をシンプル化する必要がある。そこまでして「買いやすい」環境をつくることこそが「おもてなし」。この「買いやすい」環境が提供できてこそ、商品の魅力に応じた売上が期待できることになるのだ。
 
セブンイレブンのコーヒーの場合、手順がうまく説明できたとしても、お客によっては心配が残るだろう。「サイズを間違える人がいるのでは?」「つくるのに失敗したら誰の責任?」などだ。こういうお客の心配を除外することも、商品を確実に売るためには大切になる。買い方やそれにともなう心配まで含めて、ひとつの商品なのだ。
 


セブンイレブンの巻き返しに期待


もちろん、セブンイレブンがこの程度のことを知らない筈はない。
買い方がわかりにくいのには、何か理由があるのだろう。例えば、どのような売り方が最善かを実験中だとか、売れ過ぎると店員の負担が増えて困るとか、コーヒー豆の仕入れが間に合わないとか、缶コーヒーの方が利益率が高いとか。何か理由がなくてはおかしい。
 
こう考えると、いくつかの問題がクリアされた時点で何らかの巻き返しがあるように思えてくる。そのとき、どんな買い方の提示があるのか。楽しみに期待したいものだ。

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