消費税の価格表示に統一デザインを!


この記事の所要時間: 330秒 〜 430秒程度(1977文字)


来年4月に予定されている消費税率引き上げに備えて、この10月から値札やチラシの総額表示義務が緩和される。本体価格のみを表示する「外税表示」、税込み価格よりも本体価格を目立たせる「税抜き価格の強調表示」が認められるようになるのだ。これは、消費税転嫁対策特別措置法に基づく変更で、小売店などが消費税率引き上げ後も本体価格が変わらないことを示せるように考え出された。この変更に伴い、10月以降、多くの小売店で、値札などの表示方法が変わる可能性もある(参考:消費税の転嫁対策特別措置法 5つのポイント|日本商工会議所)。
 
これに向けて、博報堂の消費税対策研究プロジェクトが「価格表示の方法」についてのアンケート結果を公表した。アンケートでは、消費税率引き上げ後、生活者がどのような価格表示を望んでいるか質問している。
 ●生活者が望むのは「税込表示・本体価格・税額」のトリプル表示
 ●増税後、税抜表示を支持する人は、2%程度
 ●店によって表示方法が異なると混乱する:87.7%

などの知見は、増税の準備を迫られる小売店にとって貴重な助言になるだろう(参考:博報堂消費税対策研究プロジェクト、緊急調査「生活者に聞く価格表示」|博報堂)。
 
ただし、一つ気を付けなくてはならないことがある。
それは、このアンケート結果は生活者が頭で考えた想像の回答に過ぎない点だ。実際の店頭で値札を見た場合に、同じ表示方法を支持するとは限らない。もちろん、それでもこのレポートが有意義なことに変わりはないが、この結果だけから価格表示について早急に判断することは危険を伴うだろう。
 

Photo credit : rmx / Foter / CC BY-NC-SA Photo credit : rmx / Foter / CC BY-NC-SA

 


実際の店頭でテストしよう!


店頭に貼るポスターを会議室で決めてはいけないという説がある。
ポスターまでの距離、見る人の状態(歩いているか座っているか)、照明のタイプなどが大きく異なることで、正しい評価が得られないためだ。店頭での検討を怠ると、想像していたより目をひかない、会議室では充分な大きさに感じられた文字が読みにいくなどの失敗を招くという。
 
価格表示もこれと同じことだろう。
パソコンの前で一つの価格についていくつもの表示例を見て考えることと(このアンケートはインターネット調査)、実際に店舗の中を歩いて数多くの値札を見て感じることは大きく違って不思議がない。アンケート調査の結果だけを参考にしては、机上の空論になってしまい兼ねないのだ。
 
このように考えると、上記のアンケート結果を参考に、実際の店頭でテストが必要なことがわかる。理想を言えば、いくつかの店舗でそれぞれ異なる価格表示を採用して、お客の反応を比較するのが望ましい。お客一人あたりの購入金額や購入品数などの購買行動に差が出れば、どれを選べばいいか一目瞭然だ。そこまでキレイに差が出ないことも考えられるので、各店舗で価格表示が見やすかったかどうかの評価をアンケートで取り、その結果を比較することも大切になる。店舗間の比較が無理でも、開店前や閉店後に親しいお客をよぶなどして、実際の評価を確かめることが必要だ。
 
自分の感覚で言えば、トリプル表示は頭で考えた場合に理想的だが、店頭でいくつも見るとかなり目障りだ。実地でテストをしたら、税抜き価格と税込み価格のダブル表示が支持を集めるように想像している。もちろん、実際に確かめてみなければわからないが。
 


価格表示は統一したデザインで・・・


さて、同じ要素を使った値札でも、レイアウト次第で印象は異なる。
 
例えば、税抜き価格と税込み価格の2要素を表示するにしても、

〈A案〉 税込み525円(税抜き500円)

 と

〈B案〉 税抜き500円(税込み525円)

では大違いだ。
 
同じ要素を表示しても、強調部分が異なってはお客が混乱する。冒頭のアンケート結果にある「店によって表示方法が異なると混乱する」を避けるためには、このレベルのデザインを統一しなくてはならないのだ。
 
1社の努力でどうなる話ではない。
しかし、お客を中心に考えれば、自然と〈A案〉に落ち着くように思う。お客が一番知りたいのは税込み価格だからだ。〈B案〉を採用することで、「少しでも安く見せたい」という心理はよくわかるが、その効果は限定的だ。ここは私利私欲を捨て、〈A案〉を採用するのが正解だと思うのだがいかがだろうか。
 
〈A案〉がよいかは脇に置いても、消費税の価格表示に統一したデザインが必要なのは間違いない。ぜひ、各社の努力でお客にやさしい統一デザインの価格表示を実現してもらいたいものだ。

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