国民生活世論調査、真の満足度は何%?


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1805文字)


「現在の生活に対する満足度」が18年ぶりに7割を超えた。この数値は内閣府の国民生活に関する世論調査によるもの。内閣府は「経済改善の表れ」としている(参考:「生活満足」18年ぶり7割台 内閣府の国民生活調査|朝日新聞)。
 
さて、国民の生活に対する満足度が7割超という調査結果から、どんな世の中をイメージするだろうか。何せ7割だ。かなり多くの人が生活に満足して、幸せに暮らしている様子を思い浮かべて不思議はない。しかし、現実の世の中を見ると、到底そうなっているとは思えない。長期的な経済停滞、慢性的な将来不安などの影響で、生活に不満を持っている人が多いように感じられるのだ。調査結果と自分の実感には大きな食い違いがある。
 
では、なぜ調査結果と実感がズレるのか。
今回は、このズレの原因について考えてみる。
 

Photo credit : Christopher Read Photography / Foter / CC BY-NC-ND Photo credit : Christopher Read Photography / Foter / CC BY-NC-ND

 


まずは質問文と選択肢の確認から


こういうズレの原因を考えるとき、まず確認するのはアンケートの質問文と選択肢だ。質問文の細かなニュアンスや選択肢のバランス、更に言えば質問の並び順などでアンケート結果は大きく変わってくる。また、質問文とそれをあらわすラベルの関係がおかしい場合も多い。
 
この点について言えば、「国民生活に関する世論調査」の「現在の生活に対する満足度」は妥当と言える。

あなたは,全体として,現在の生活にどの程度満足していますか。この中から1つお答えください。
  満足している
  まあ満足している
  やや不満だ
  不満だ
  どちらともいえない
  わからない

これが実際の調査票にある質問文と選択肢だ。質問文は直接的で、おかしな聞き方はしていない。「あなたは,全体として,現在の生活にどの程度満足していますか」という質問を「現在の生活に対する満足度」とするのは極めて自然だ。あえて言うなら「全体として」のニュアンスが抜けているが、無理のない省略だと考えられる。
 
選択肢について言えば、満足と不満で語尾(「〜している」と「〜だ」)が違い、後者の方が力強い言葉遣いに感じられるが、不自然なほどではないだろう。質問の並びは「去年と比べた生活の向上感」 → 「現在の生活に対する満足度」 → 「現在の生活の各面での満足度」の順。当該質問の前に、生活に満足していることを思い出すようなバイアスはなく、おかしなところは特にない。どうやら、質問文や選択肢のせいで高い満足度になっている訳ではなさそうだ。
 


真の満足度は10.3%?


続いてアンケート結果のデータ自体を見ると、「まあ満足している」の多さに気付く。
「現在の生活に対する満足度」は「満足している」と「まあ満足している」の合計として算出されているが、「満足している」の10.3%に対して「まあ満足している」が60.7%と極端に大きくなっているのだ。つまり、同じ満足でも弱い満足が圧倒的に多い。経験から言えば、「満足」と「まあ満足」の比は2〜4倍程度に収まることが多く、かなり特徴的な結果と言える。
 
また、商品の購入意向などの質問では「まあ◯◯」を無視することが多い。「まあ◯◯」で示される意向は「あえて選ぶならこっち」程度なので、あまり信用できないからだ。後から追跡調査をすると、「まあ◯◯」の意向では実際の行動になかなか結びつかないことがわかる。購入意向と満足度では大きく違うものの、「まあ満足」程度ではあまり信じられないことに変わりはないだろう。真の満足度は「満足している」の10.3%だけかも知れないのだ。
 


常識的な確認をしよう!


アンケート結果を見て、「これ、おかしい!」と思うことは誰にでもあるだろう。毎日のように発表される数多くのアンケート結果は玉石混淆だし、ラベルの貼り方などで誤解を招くケースも多い。
 
すべてのデータを疑うとキリがない。しかし、自分の仕事や生活に大きな影響を与えるデータは疑ってみる価値がある。データの取り扱いは専門的な面もあるで難しいと思うかも知れないが、常識的に考えればわかることも多い。データが何かおかしいと思ったら、まずはしっかり確認することが必要だ。

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