指紋認証ハック、その「身に迫らない危機」!


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1697文字)


iPhone 5sに搭載された指紋認証機能が早速ハッキングされた。指紋を2400dpiで撮影して、その凹凸を反転させたものを1200dpiでレーザー刻印。この型に接着剤を流し込んで固めることによって指紋の複製をつくり、これを使って指紋認証をハックするという。ハッキングのロジックは極めて明解だし、動画を見る限りハッキングに成功しているようだが、何とも手の込んだやり口だ(参考:iPhone 5s:「指紋認証ハッキング」は成功したのか|WIRED.jp)。
 
TechCrunchの記事(ドイツのハッカー集団、複製した指紋でAppleのTouch IDを迂回)にあったが、「もし誰かが、このすべてを実行してあなたの電話に侵入することをいとわないとすれば、あなたが指紋のセキュリティーどころではない問題を抱えている可能性が大」だ。何せ、この方法はあまりに手間が掛かる。一般人のスマートフォンをハックするにしては、作業量が多過ぎるのだ。あなたが余程大きな問題を抱えていない限り、この方法で指紋認証を破られる可能性は低いだろう。こんな大変な作業をして、浮気相手がわかる程度では、コストパフォーマンスが合わないからだ。
 

Photo credit : a2gemma / Foter / CC BY Photo credit : a2gemma / Foter / CC BY

 


身に迫る危機、身に迫らない危機


それでも、こういうニュースは多くの人の興味を集めて、広く伝播する。そして、この危機を本気で信じる人が出てくる。誰もがハッキング被害に合うことを恐れるため、それが現実的かどうかに関わらず、ただ可能性があるというだけで恐怖を感じてしまうのだ。もちろん、何らかの危機に対して充分な警戒をすることは素晴らしい。しかし、こんな非現実的な危機まで心配していたらキリがない。アレも怖い、コレも怖いと心配していては、何もできなくなってしまう。
 
ここで、これらの危機を煽る人たちがいることを忘れてはならない。例えば、新聞社やテレビ局などの報道機関がこれに当たる。「危機の可能性はあるものの、きっと大丈夫」では人々の耳目を集められないし、何かの拍子でその危機が実現したときに責められてしまう。そこで、危機を必要以上に大袈裟に伝えることになるのだ。充分な警戒を促すためにわざと誇張していると好意的に捉える向きもあろうが、行き過ぎの印象は拭えない。
 
何らかの危機があるとき、それがどのくらい現実的な危機なのかを自分自身で考える必要がある。マスコミの報道や世間の風潮に流されてしまっては、碌なことにならない。多くの人にとって、指紋認証ハックは「身に迫らない危機」だろう。一方で、歩きスマホやパスワードの使い回しは明日にも「身に迫る危機」となる可能性がある。いつか襲われるかも知れないハッキングを恐れるよりも、いま目の前にある「身に迫る危機」に対応する方が効果が大きいと思うのだが、いかがだろうか。
 


「身に迫る危機」を見極めよう!


危機のリスクを考えるときには、それが起きる確率と、それによりもたらされる被害を考慮しなくてはならない。このとき、確率や被害を正確に算出することは難しく、この部分を想像で補うことになる。そして、コンピュータやインターネットに関連する危機については、この想像を苦手にしている人が多い。その結果、アレも怖い、コレも怖いとなり、過大な恐怖を抱いてしまうのだ。
 
しかし、苦手を口実にリスク判断を他人任せにしていると、何もできなくなってしまう。中には人の恐怖心を煽り、ビジネスにしようとする輩もいる。よくわからないリスクをただただ恐れるのではなく、冷静沈着に「身に迫る危機」を見極めることが必要なのだ。
 
もちろん一朝一夕に解決できるような問題ではない。
しかし、わからないからといって判断停止に陥るのは最も危険だ。自分なりに調査をしてみずからら考えることを習慣にするだけで大きく変わり得る。常識的に考えればわかることも多いのだ。「リスクについては、まずみずから考える」。これを行なうことをオススメしたい。

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