楽天優勝パレードの経済効果はどのくらい?


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来たる11月24日(日曜日)、仙台市の東二番丁通で楽天イーグルスの優勝パレードが行なわれる。イベントの実行委員会は当日の人出を20万人と予想。前日の23日(土曜日)は近隣のホテルがほぼ満室だというのだから、大騒ぎだ(参考:杜の都、熱気再び 楽天優勝パレードでホテルほぼ満室)。
 
さて、この優勝パレード。「20万人」で大きなイベントなのはよくわかるものの、この人数でその凄さをしっかり実感するのは難しい。どのくらいの人が集まるかわかっただけでは、その効果がボンヤリしていてはっきり見えないのだ。商売人(?)として気になるのは、「で、いくらカネを落とすの?」ということ。そこで、ちょっと計算してみた。
 

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経済効果は約16億7千万円?


経済効果の試算では、観光庁が公開している共通基準による観光入込客統計を参考にした。この統計では、各都道府県別の「観光入込客数」、「観光消費額単価」、「観光消費額」などがデータ化されている。今回は、平成24年の「都道府県別、観光入込客数(実)・観光消費額単価・観光消費額(日本人・観光目的)」を使用している。
 
昨年1年間、仙台市がある宮城県を観光目的で訪れた日本人の観光入込客は2,500万人弱で、内訳は以下の通りになる(括弧内は構成比)。
  県内宿泊客   1,715千人(6.9%)
  県内日帰り客  15,770千人(63.8%)
  県外宿泊客   2,287千人(9.3%)
  県外日帰り客  4,947千人(20.0%)
  合計      24,719千人(100.0%)
 
今回の優勝パレードでもこの構成比が変わらないと仮定すると、20万人の人出は
  県内宿泊客   13,800人
  県内日帰り客  127,600人
  県外宿泊客   18,600人
  県外日帰り客  40,000人
に、わけることができる。
 
これにそれぞれの人たちの「観光消費額単価」を掛けると、経済効果が試算できる。
  県内宿泊客   13,800人 × 21,881円 = 301,957,800円
  県内日帰り客  127,600人 × 3,977円 = 507,465,200円
  県外宿泊客   18,600人 × 24,606円 = 457,671,600円
  県外日帰り客  40,000人 × 10,102円 = 404,080,000円
 
楽天優勝パレードの経済効果は、締めて約16億7千万円となった。
 


たとえ雑な試算でも・・・


正直に言えば、ここまで書いた経済効果の試算は穴だらけだ。
 
まず、ビジネス客と外国人観光客を考慮していない。20万人の中には、金曜日まで出張でそのまま仙台に残るビジネス客や、東北観光の途中でたまたまパレードを見ようと思った外国人観光客がいてもおかしくない。試算では、これらの分が勘案されていない。また、一般的な観光客とパレード目当てで来るお客には大きな違いがある可能性も高い。観光客よりも県内日帰り客が多いだろうし、実際のパレードはたった30分だから「観光消費額単価」が少ないかも知れない。そして、何よりこの「観光消費額単価」には行き帰りの交通費等も含まれているため、すべてが仙台市に落ちる訳ではない。
 
言い換えれば、「約16億7千万円」という金額はいくつもの仮定をすることで算出できた。パレードのお客は①すべて日本人観光客で、②一般の観光客と構成比や消費額が変わらず、③すべての消費額を仙台で使うと仮定すれば、この金額で正しいことになる。
 
試算は何らかの仮定をしないと成立しない。ひとつひとつの仮定を煮詰めて解きほぐしていけば試算の精度は上昇するが、それには時間も手間も掛かる。このため、多くの人は精度を高めることを重視し過ぎて、「試算できない」という結論に達する。
 
しかし、精度を重視し過ぎて試算無しでビジネスに臨むことは危険が大きい。ときには、たとえ雑な試算でも規模感を把握することが重要なこともある。何かわからないことがあったら、いろいろな仮定を決めて試算してみるといいのではないだろうか。

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