座高測定廃止はもったいない?


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文部科学省が学校の健康診断での座高測定を廃止する。検査項目の見直しを要請していた有識者会議からの報告を受けて、省令を改正する方針とのこと。廃止の理由は、座高測定の検査結果が「ほとんど活用されていない」と単純明快だ(参考:27年度にも座高測定廃止 学校の健診見直し 文科省|MSN産経ニュース)。
 
これまでなぜ座高測定をしていたかはよくわからない。座高の測定がはじまった当初は「内蔵がある上半身の発達を確認する」目的があったという説もあるが、本当にこんな目的だったのか、そもそも座高を測ることで内蔵や上半身の発達を確認できるのかは不明。「学校で使う机や椅子の高さ決定に使う」ためという説は理に適っているものの、生徒全員の座高を毎年測定する理由にはならないだろう。報告書で「ほとんど活用されていない」と指摘されているのだから、測定を続けていた理由は「誰も止めようと言わなかったから」が真相なのかも知れない。
 
さて、こういう測定廃止の取り組みがあると、必ずと言っていいほど「データの継続性を考え、安易に測定を止めるべきではない」という反論が登場する。しかし、これに説き伏されてはいけない。一理あるのは間違いないものの、そこにあるのはデータ活用に対する熟考ではなく、現状維持バイアスに基づく過剰な「もったいない精神」だからだ。
 

Photo credit : lowa Digital Library / CC BY-NC Photo credit : lowa Digital Library / CC BY-NC

 


「もったいない」は禁物


まず、共有すべき価値観は「不要なデータなど無い」ということだ。どんなデータでも、何らかの役には立つ。ただし、この価値観から導かれる結論は「だから何でもデータ化しましょう」ではない。「何でもデータ化していたらキリがないので取捨選択しましょう」だ。データの測定や分析には手間も時間も掛かることを忘れてはいけない。
 
何をデータ化して、何をデータ化しないかは費用対効果で考えなければいけない。「役に立つ」だけでは、測定をする理由として弱いのだ。データが役に立つのは当然なので、その効果が多いか少ないかで選択する必要がある。ここを間違えると何でもかんでもデータ化して、どのデータを重視するべきか決められない状態に陥ってしまう。データ化の対象の取捨選択に「もったいない」は禁物と言えよう。
 
当然ながら、データ化の費用と効果を厳密に数値化することは難しい。しかしそれでも、費用対効果の発想で考えることはできる筈だ。手間や時間がどのくらい掛かるのか、その効果はどの程度なのかをよく考えて、データ化するか否かを決めることが求められる。
 


使い方は後から考えるはアリ?


測定していないデータは、後から使うことができない。だから、何でもデータ化しておけばいいという論もある。「使い方は後から考えればいい」という論法だ。
 
この考え方の問題点は、後から「誰が」考えるのかという部分に集約される。後年、天才が現れるとか、コンピュータが何とかするとかに期待しているのなら、考え直した方がいい。将来の技術の進化に期待するのは自由だが、そこに何らかの見通しがなければただの絵空事になってしまう。
 
DNA鑑定のように、技術の進歩が明らかに予想できてそれがデータ活用を進展させるものでない限り、「使い方は後から考える」はやめた方がいいだろう。データは多ければいいという考え方は、無責任で間違っている。
 


定期的な見直し方法をルール化しよう


データを継続的に測定するとき、定期的な見直しは欠かせない。時の流れにより、多かれ少なかれ世の中は変わるためだ。
 
このとき、データ化の対象を取捨選択をすることになるが、このとき「何を選ぶか」よりも「どうやって選ぶかのルールづくり」が大切になる。取捨選択のルールが決まってないと、その時のトップの好みがでたり、過剰に時代に迎合したりすることになるからだ。多くの人に対して説得力があるルールをつくれば、1回1回の選択に多少の出来不出来はあっても、長期的には安定した価値を保つことができるだろう。
 
企業一般の意思決定においても同じことだ。どんな決定を下すかよりも、決定までのルールづくりが大切となる。あるタイプの意思決定について、誰が、いつまでに決めて、その責任をどう考えるか。これらのルールが決っていることが、企業の運営をスムーズにするのだ。「もったいない」など心理的なバイアスを防ぐためにも、意思決定をルール化することは役に立つだろう。

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