世の中、お利口さんが多くて疲れません?


この記事の所要時間: 350秒 〜 450秒程度(2159文字)


最近、企業に対する抗議が世の中を騒がせている。日本テレビの『明日、ママがいない』、キリンビール『本搾りチューハイ』のカエルを使ったCM、ファミリーマートの『黒毛和牛入り ハンバーグ弁当~フォアグラパテ添え』など。他にも大小さまざまあり、数え上げればキリがない。
 
さて、消費者等からの抗議への対応で大傑作なのが、この記事のタイトルにした「世の中、お利口さんが多くて疲れません?」の事例だ。そこからは「後手に回るな」という教訓を得ることができる。
 

Photo credit : SEO / CC BY-SA

Photo credit : SEO / CC BY-SA

 


「バカから」の抗議を想定していた!?


「世の中、お利口さんが多くて疲れません?」というコピーは、仲畑貴志さんが手掛けたエーザイ チョコラBBのコマーシャルに登場した。そもそもは、どこかの土手にしゃがみ込んだ桃井かおりさんが、あの独特の気だるい口調で「世の中、バカが多くて疲れません?」と問い掛けるコマーシャル。これに対して「失礼だ!」と抗議が入ったため、「お利口さん」に差し替えられたと言われている。「お利口さん」の方が「バカ」よりもずっと失礼に思うが、「物は言いよう」。これでは文句が付け難い。
 
そして、このCMにはまことしやかな伝説がある。「バカ」バージョンに抗議が入ることを予期して、最初から「お利口さん」バージョンを一緒に撮影していたというのだ(他に、「抗議はどこから?」との質問に「バカから」と答えたという話もある)。実際に二本撮りしたかは別にしても、かなり早いタイミングで新バージョンが放送されたのは事実であり、あらかじめ抗議を想定していたと考えるのは無理がないだろう。今とは口コミの伝わる速度が大きく異なるとはいえ、対応に余裕があった。
 
裏付けを取ることはできないものの、このエピソードから学ぶところはある。それは、抗議を事前に想定することの大切さだ。先手を取るのと後手に回るのでは、結果が大きく異なってくる。
 


抗議がくることは大前提!


商品に対する抗議がどこからくるのかといえば、抗議をしたい人からだ。何もふざけている訳ではない。いろいろ考えると、そうとしか答えようがないのだ。商品に明らかな争点があれば抗議が多くなるのは当然として、常識的に考える限り特に問題のない商品だからといって抗議がこないとは限らない。抗議をしたい人は、どこからか争点を見付け出して我が正論をつくりあげる。
 
何も商品に対して抗議する人を否定したい訳ではない。世の中にはいろいろな考えを持つ人が確率的に存在しているということを確認しただけだ。ここで重要なのは、誰からも不満を持たれない商品をつくるのは無理だということ。たとえ100人中99人のお客さまに好かれる商品だとしても、誰か1人には強く嫌われている考えるのが現実的だ。そして、その1人が自己主張の強い人物だったら目も当てられないことになり兼ねない。
 
実現性が高いかをともかくとすれば、今の世の中、どこからか抗議されるリスクは常に存在する。どんな商品でも、抗議がくることは大前提としなければならない。そして、これについて間違いなく言えるのは「後手に回るな」ということだ。何ごとも、事前に準備するに越したことはない。
 


リスクの直視をオススメします


さて、抗議への対策は各論なので議論しても始まらない。大切なのは、抗議されるリスクを前提として商品開発等の企画を進めることだ。抗議の後手に回れば、対応に時間が掛かり、騒動が広がってしまう。企業内に動揺が起きれば冷静な判断ができなくなり、悪循環に陥る可能性も高まるだろう。
 
抗議への対応が後手に回りやすい要因として、企業内での企画審査があるように思う。企画の審査で一切のリスクを嫌う傾向が見受けられるのだ。こうなると、企画を通すためには、「リスクは存在していない」というストーリーをつくらざるを得なくなってしまう。リターンはリスクの裏返しだからリスクのない好企画などある筈ないが、平気でそういうものが登場する。企画者がリスクに気付いていないのではない。社内手続きで潰れないよう、リスクを気付かなかったことにしてしまうのだ。
 
もちろん、このような商品企画の審査は一部の企業でしか行なわれていないことかも知れない。しかし、リスクから目を逸らす傾向がどこの企業にもあるのも事実だ。どんな企画にも欠点はあるし、どんな商品にも抗議はくる。リスクを前提にして企画段階で対策を考えておく方が前向きだし、重大なトラブルに巻き込まれる可能性も下がるだろう。
 
リスクの存在を認めない会社の体質を云々することが現実的でない立場なら、まずは自分だけでもリスクという確率的な事実に目を向けることが重要になる。「世の中、お利口さんが多くて疲れません?」のようなエレガントな対応は難しいにしても、準備があるとないとでは大違いだ。事実に基づいて考えて、何ら悪いことはない。ぜひ、リスクの直視をオススメする。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.