先見せ動画広告は逆効果!?


この記事の所要時間: 410秒 〜 510秒程度(2347文字)


今年は「動画元年」と言われている。
こういうイメージ先行の言葉には注意した方がいいが、「動画元年」について言えば一理あるのも確かだ。動画の撮影や編集がスマートフォンなどで簡単にできるようになり、TwitterやFacebookも動画投稿に対応済み。ホームページに動画を組み込むことも難しくなくなり、今後その活用の幅が更に広がるのは間違いないだろう。今年が「元年」かどうかはわからないものの、このところ動画の活用が急速に進んでいることは実感している。
 
これに伴い、インターネット上で動画を広告に活用しようという取り組みも盛んになってきている。ホームページに動画広告が掲載されていることは既に珍しくないし、YouTubeなどの動画サイトには動画広告が付きもの。そして、つい最近ではニコニコ動画の先見せ広告導入が話題になった(参考:『ニコニコ動画』が動画再生前に30秒の動画広告を開始 プレミアム会員はオフに可能|ガジェット通信)。見たい動画を再生する前に出てくる、あのタイプの広告だ。
 
ただ、この動画広告。確実に広告を見せる有効な手段のようだが、出稿にはかなりの注意が必要になる。消費者の心の動きはそんなに簡単ではないからだ。
 

 


利用者は動画広告をどう思う?


動画広告の特徴は、利用者の時間をあからさまに奪うところにある。ホームページにあるバナー広告や、検索結果に出てくる連動型広告は簡単に無視することができるが、動画広告はそうはいかない。人間は一度に二つ以上の動画を見ることができないので、他の広告のようにコンテンツの脇には置けないのだ。その結果、動画サイトの場合、見ようとした動画を楽しむ前に強制的に広告を見せられることになる。まさに数秒間の時間を「奪われた」感覚だろう。
 
それも、見たい動画を「おあずけ」されているような状態なので、心中穏やかではない。自分に限って言えば、早く「広告をスキップ」が出てこないかとそればかり考えている状態だ。同じ動画広告が何度も表示されると、「広告をスキップ」がどのタイミングで押せるようになるか学習するが、広告の内容自体はほとんど覚えていない。「また○○の広告か。もうたくさんだよ。」と見流している。
 
当然ながら、動画広告の捉え方は人それぞれ。自分と同じように毛嫌いする人もいれば、広告を楽しむ人もいるだろう。広告のお陰で動画が見れるのだからと、感謝する人が居ても不思議はない。ただし、いずれにしても「おあずけ」状態なのが問題だ。好意的に捉えられているとは、考え難い。その場合、広告している商品やサービスに悪い印象を持つ可能性がある。
 


広告の目的は、購入 > 認知


ここで忘れてはならないのは、広告の真の目的は商品やサービスの購入にあることだ。広告に、商品などの認知を高める側面があるのは事実だが、それはあくまで手段。最終的に商品の購入に結び付かなければ、広告の価値は極めて限定的となる。
 
インターネット上の動画広告はこの部分に心配が残る。テレビコマーシャルよりも、インターネットの他のタイプ広告よりも、目にしたときの不快感が高いからだ。商品を確実に認知させることができても、そこに不快感が伴えば購入にはつながり難い。誰が「おあずけ」の原因となった商品を買いたいだろうか。その商品をあからさまに「嫌う」ことはなくても、「何となく敬遠する」ような事態はありそうだ。
 


広告の効果測定は自社で行なおう!


ここまでの話は、あくまで個人的な推測に過ぎない。実際にどのような影響が出るかは、広告を出稿してみて初めてわかることになる。
 
このとき大切なのは、その影響を「誰」が測るかということ。動画広告が掲載されるサイトや、間に入った広告代理店が広告効果のレポートを持ってくるだろうが、これを真に受けてはいけない。モノは聞きよう。自社に都合のいいデータをつくることは、そんなに難しくないからだ。調査結果をいじることはないにしても、不利な結果が出ることは最初から質問しない、意味が広くとれる聞き方をして数値を上げるなどの工夫をすれば、もろもろどうにでもなる。もちろん、先方が小細工をするとは限らないが、頭から信じることが危険なのはわかっていただけるだろう。
 
今の時代、インターネットを使ったアンケートの費用は驚くほど安い。質問数や作業範囲によるものの、1,000件の回答で10万円〜20万円などというものもザラにある。事前のスクリーニングで、特定サイトの一定頻度の利用者を抽出することも可能な筈だ。つまり、広告の効果を自社で確認する安価なツールがあることになる。
 
広告を出稿したサイトの利用者と非利用者、サイト利用者のうち当該広告の接触がある人とない人で商品購入意向や商品イメージにどのような違いがあるかをおさえれば、広告の効果は測定できる。広告の効果を確認するとともに商品自体の評価を聞けば、調査結果はより有効に活用できるだろう。調査は機会がないとなかなか行なわないもの。動画広告を出したなら、それをきっかけにして商品周りの現状把握調査を行なってみるといい。広告の効果は出稿の狙いと合っていたのか、商品を誰がどのように評価しているのかなどを知ることは無駄にならない筈だ。広告効果の測定を自社で行なってみたらいかがだろうか。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.