コンビニでジャスミンティーを!


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2113文字)


先日、ファミマ、100円コーヒーの不思議という記事を書いた。値下げによる追随はビジネスとして筋が悪く、「ローソンのように高級路線を目指すとか、いれたての日本茶や紅茶を売り出すとか、別の道があるのでは」という内容だ。
 
この記事をアップした4月22日(火)、サークルKサンクスが淹れたてコーヒーのメニュー拡充!!ジャスミン茶などを合わせ最大11アイテム!!というリリースを発表した。5月13日(火)から、カウンターコーヒーサービスに紅茶とジャスミン茶を加えるという内容。もちろんただの偶然なのだが、タイミングの良さにちょっとびっくりした次第だ。
 
紅茶類云々は誰でも当たり前に思い付くことを書いただけなので佐々木のオススメが的中したとするのも恥ずかしいが、こちらの方が100円コーヒーに追随したファミリーマートよりも筋が良いのは間違いないだろう。コンビニでいれたてのジャスミンティーが飲めるなんて、一度は試してみたい楽しさじゃないか。ぜひ、その成功を期待したいところだ。
 

ジャスミンティー

Photo credit : Peggy2012CREATIVELENZ / CC BY

 


「安易」と言うなかれ


紅茶類の取り扱いをはじめる戦略について「誰でも当たり前に思い付く」と書いたが、アイデアを考えることとそれを実現することはまったく別レベルの話。「紅茶を出せばいい」は簡単に発想できるが、それを為すには商品企画、資材調達、社内調整などたくさんのハードルをクリアする必要がある。
 
商品企画ひとつを例にとっても、需要があるのか、誰に向けて発売するのか、商品をどう特徴付けるのか、そのとき価格やパッケージをどうするか、広報はどう展開するのか、そして既に発売中のコーヒーとの棲みわけをいかに行なうかなど。発売までに、検討、決定、実行しなければならないことは山ほどある。
 
「紅茶を出す」という戦略が誰でも思い付くからといって、この展開を安易と言うのは間違っている。発売までには相当の作業の積み重ねがある筈だ。だからこそ、成功して欲しいと思う。
 


追随に備えて次の一手を考える


そしてこれが成功すれば、今度は紅茶やジャスミン茶の販売に追随があらわれるだろう。先行することによって、「紅茶類はサークルKサンクス」という刷り込みがある程度できていたとしても、そのアドバンテージは残念ながら続かない。セブンイレブンやファミリーマートが本気で取り組んできたら、ひとたまりもない可能性すらある(ローソンは、既に高級路線として紅茶を販売している)。
 
このとき必要なのは、次の一手を考えておくことだ。
追随にどう対応するかまで考えておいてこそ、はじめて戦略となる。今どき他社に絶対に真似のできないことなどほとんどないので、追いつかれるまでの間に次の一手を繰り出すことが有効手になる。目の前の競争に一所懸命になり過ぎて、この次の一手が準備不足になることは多い。言うは易く行なうは難しの典型ながら、サークルKサンクスの次の一手にも期待したいところだ。
 


新商品が業界を動かす!?


新商品はある種の仮説。企業はすべての商品を「これは売れる」と考えて発売する。つまり、「これは売れる」を支える仮説が存在する訳だ。「簡単に買える紅茶類のマーケットは充分存在する」、「コンビニの店頭で紅茶類を販売すれば簡単さを実現可能」、「紅茶を飲みたい人は、それを買うためならいつも使っているコンビニ以外に来店する」など。仮説の集合が新商品の「これは売れる」の根拠となっている。
 
この商品を消費者が購入すれば仮説は肯定されたことになり、購入しなければ仮説は否定されたことになる。やや乱暴かも知れないが、こうやって実証が繰り返されていると考えれば、企業の活動をシンプルに捉えられるようになるだろう。
 
ここで大切なのは、仮説をつくらなければそれは肯定も否定もされないということだ。新商品を販売しなければ、成功も失敗もない。失敗しないことは素晴らしいが、成功もなければ企業はジリ貧になる。
 
今、コンビニのカウンタードリンクは競争の真っ直中にある。だからこそ、100円コーヒー追随しかり、紅茶類発売しかり、いろいろな仮説がフィールドにかけられる。中には頓珍漢に見える仮説もあるが、最終的に判定を下すのは消費者。極めて健全な争いだ。
 
100円コーヒーの筋が悪く、紅茶・ジャスミンティーの筋が良いというのは佐々木の見立て。実際にどうなるかは一定の時間が経ってみなければよくわからない。ただ間違いないのは、たくさんの仮説が登場する業界は、活気があって楽しいということだ。そのほとんどは失敗する運命にあるだろうが、いくつかの成功は生まれるだろうし、そうなれば業界が動き出す。今回のジャスミンティー発売はこの好例と言えよう。やっぱり、コンビニ業界はおもしろい。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.