Excel方眼紙はアリかナシか


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Excelシートの「高さ」と「幅」を同じにして正方形のマス目状で使うことを、俗にExcel方眼紙という。細かくつくった正方形を適宜「セル結合」すれば、表のレイアウトは自由自在。まるで紙に直接書くような自由度で、複雑なフォーマットの表や帳票をつくることができる。一度使い慣れてしまうと、かなり応用範囲の広い活用方法だ。
 
さて、この便利なExcel方眼紙。実は一部でかなり評判が悪く、インターネットのどこかしこで定期的に批判の対象となる。曰く、「Excel本来の使い方ではない」、「後から修正がし難い」、「印刷が乱れる」などなど。批判の声に共感する部分がないではないが、何とも焦点がぼけているように思えてならない。なぜなら、問題の本質はExcel方眼紙にないからだ。
 

方眼紙

credit: nextSibling via FindCC

 


そもそもの使い方など関係ない!


元来、Excelは表計算ソフトだ。表の形にした複数のセルに数値を入れ、それを足したり引いたり掛けたり割ったりして使う。例えば、「各アルバイトの勤務時間を足し上げ、それぞれの時給を掛けて給料を計算する」、「チェーン各店の売上高を時系列で入力し、伸び率を比較する」といった使い方になる。
 
一方、このようなそもそもの使い方以外に、Excelを「きれいな書類作成」のために使うことがある。セルの高さや幅を工夫すれば、
 ●先頭文字の位置揃え
 ●思った場所への文字入力
 ●画像の自由な配置
などが可能になるため、ワープロソフトよりも「きれいな書類」がつくれるのだ。罫線を多用する書類をつくる場合に、WordよりExcelを使うという人も多いだろう。そして、この「きれいな書類作成」を追求していくと、Excel方眼紙に辿り着く。一度使い出したが最後。Excel方眼紙は手放せないツールとなる。
 
「Excel本来の使い方ではない」という指摘は、この流れにおいてある意味で正論だ。しかし、Excel方眼紙を使っている人がいて、それによってしか実現できないことがあるのなら、そもそもの使い方など関係ないと考えることもできよう。市販のアプリケーションは誰もがいろんな目的で使えるようにつくられているため、そのまま使っていたのではできることが限られてしまう。各自が創意工夫して使った方が応用範囲が広くなると考えられ、このようなアプローチはむしろ推奨されてもいいように思う。もちろん、「他人に迷惑を掛けない範囲」という条件付きであることを忘れてはならないが。
 


大切なのは利用者を考えること


「後で修正がし難い」や「印刷が乱れる」は、確かにその通りだ。ただし、これはExcel方眼紙に限ったことではない。方眼紙になっていないExcelファイルでも、この種のトラブルはたびたび発生する。
 
一般的に、他人がつくった書類やデータは使い難いものだ。書類をつくるときに重視する箇所、書類を構成する各要素の評価基準などが違うからだろう。このため、誰かがつくったファイルは別の人にとって修正が難しくなる。また、画面と印刷結果が一致しない問題は奥が深い。画面で見たそのままを印刷するWYSIWYG(ウィジウィグ/What You See Is What You Get)が実現できれば理想的だが、Excelに限らずこれはかなり難しいことらしい。
 
いずれにせよ、ここで大切なのは自分が作成したExcelファイルを使う人への配慮だろう。自分だけで使うファイルなら、どんな風に使おうととやかく言われる筋合いはない。社内で共有する文書、顧客などに記入してもらう文書だからこそ、その使い勝手が問題になる。自分がつくったExcelファイルを、どのような利用者たちがどのように入力/修正するかを想像することが必要になる。要は顧客志向だ。
 
使い難いExcelファイルは、この顧客志向が抜け落ちていることが多い。利用者のことを考えずに、自分の高い技術を駆使したり、ファイルへのこだわりを実現したりしている。当然ながら、ファイル上で利用者への配慮をすることは簡単でないが、顧客志向の視点があるのとないのでは大違いだ。この視点があればExcel方眼紙でも使い易くなるし、この視点がなければどんな形式のファイルでも使い難くなる。
 


他人も使うファイルでは・・・


いろいろな人が使うファイルをつくるときには、
 ●利用者のExcelスキルを想像する。
 ●できるだけシンプルな構造にする。
 ●自分の好みだけで使っている機能は排除する。
 ●ファイルの使い方について、メモをつくる。
などの工夫をすると良いだろう。
 
帳票の使い易さは、作業の生産性に直結する。最初にしっかりしたファイルをつくれば、自分も他人も後の作業が楽になり、余計なストレスが発生しない。多くの場合、この部分に思い至らず他人には使いにくいファイルができてしまいがちだが、帳票のデザインはこだわる価値のある部分だ。帳票のデザインづくりの大切さをわかっていただけたらと思っている。

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