Wikipediaの医療情報は信用できない?


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1833文字)


どうやらWikipediaの病気や健康に関する情報は信用できないらしい。米キャンベル大学の研究チームが行なった調査によれば、「90%もの内容が誤情報であることがわかった」とのことだ(参考:ウィキペディアを信じるべからず。病気や健康に関する記載の9割が虚偽情報だと判明|IRORIO)。
 
正誤の判断基準などがわからないため確定的なことは言えないものの、誤情報が「90%」というのは絶対的な割合としてかなり高い。Wikipediaの医療情報が信用できないのは確かだろう。しかし、これをもってWikipediaを批判するのには些か抵抗がある。なぜなら、この数値には比較の視点が欠けているからだ。
 

Wikipedia

credit: Kalexanderson via FindCC

 


テレビや雑誌の誤情報率は何%?


この記事を見て真っ先に思い出したのが、以前、一部でかなり話題になったあるニュース。「Wikipediaは信用できない」という批判を検証するために調査を行なったところ、ブリタニカ百科事典も似たようなものだったというのだ(後日、ブリタニカ側から反論あり)。Wikipediaに多くの間違いがあるのは確かだが、権威がある筈の他の事典も大差なかったことになる「Wikipediaの情報はブリタニカと同じくらい正確」–Nature誌が調査結果を公表|CNET Japan)。
 
医療情報の正誤についても、同じような構図の可能性が考えられる。医療に関する専門書ならいざ知らず、一般の辞書や書籍には不正確な表記が含まれていても不思議はない。雑誌やテレビ、そしてインターネットの記事は、かなり危なっかしい俗説ばかりのように見える。もちろんこれらは推測に過ぎないが、Wikipediaばかりが間違っていると言い切れないのは確かだ。
 
また、Wikipediaに故意に誤情報を載せている人がいないとすれば、情報源がある筈だ。普通に考えれば、どこかで見知った情報を転載しているのだろう。そしてこの場合、ネタ元となった事典・辞書・書籍、雑誌・インターネットの記事に多くの誤情報が含まれていると考えられる。
 
Wikipediaの誤情報率が90%でも、例えばテレビや雑誌の誤情報率が95%なら、Wikipediaの方が相対的に優れていることになる。数値を評価するには、常に比較の対象が必要なのだ。
 


アンケート調査も比較が肝腎!


アンケート調査でも同じことが言える。
消費者に自社商品を評価してもらって、「満足している」が70%だったとしよう。70%という数値は半数を超えているし、何となくいい感じに見えるが、この数値を単独で評価することは難しい。選択肢をもっと具体化し、「この商品を次回も購入する」としても同じこと。アンケートの回答にはリップサービスが含まれるので、「この商品を次回も購入する」が70%でもその人たちが自社商品のユーザーになるとは限らない。単独の数値ではほとんど何もわからないのだ。
 
このとき、数値の価値を知るためには、他社の商品も一緒に評価してもらって比較対象にする必要がある。どういう人たちに評価されているかを知りたいなら、性別や年齢などの属性別に比較すればいい。時間の流れを意識するなら、過去、現在、未来を比較できるような調査設計にするといいだろう。どんなモノの見方をするにせよ、データを評価するには比較の視点が欠かせない。
 


「で、どうする?」にならないために・・・


アンケート調査であろうとその他の調査であろうと、結果の数値を解釈しなくては前に進めない。そして、調査をする前に解釈の仕方の枠組みや仕組みを考えておかないと、データが出来てから「で、どうする?」ということになってしまう。
 
データの見方の枠組みや仕組みはたくさんあるが、最も基礎となるのは「比較」と言っていいだろう。調査をするときには、はじめる前に比較の視点を考慮することが必要になる。この仕込みをすることは難しいかも知れないが、比較の視点なしではせっかくの調査結果が役立たずになってしまう。調査をする際には、「どんな比較をしたのか」考えてみることが大切だ。ぜひ、オススメする。

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