消費税8%が計算し難い理由


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2083文字)


消費税が8%に増税されて、そろそろ4か月が経とうとしている。
15年以上続いた5%の税率が変更になったことに最初はかなりの違和感があったが、消費税8%の生活にもだいぶ慣れてきた。新しい価格に驚くことはなくなったし、交通機関の端数料金ももう気にならない。日本経済に与える影響は別にして、日常生活への影響はかなり落ち着いてきたように思う。
 
それでも、なかなか慣れないのが消費税額8%の計算だ。暗算はそれなりに得意なのに、8%の計算はどうもコツが掴めない。買い物をするとき、何とも歯痒い感じになる。
 

計算

credit: Dicemanic via FindCC

 


掛け算は足し算と数値の記憶がポイント


税抜き価格から消費税額を計算するとき、当然ながら掛け算を行なう。一つ一つの掛け算はただの九九なのに、桁数の多い掛け算が暗算し難いのはなぜだろうか。
 
よく考えてみると、複数桁の掛け算では、
 ①1桁 × 1桁の掛け算
 ②掛け算結果の桁をずらしての足し算
 ③計算途中の数値の記憶
を一度に行なっている。
 
①の「1桁 × 1桁の掛け算」は九九を思い出すだけなのでどうということはない作業。掛け算と言いつつ大変なのは、②の「掛け算結果の桁をずらしての足し算」と③の「計算途中の数値の記憶」の方だろう。1,634円の消費税額8%を計算するとして、1 × 8、6 × 8、3 × 8、4 × 8の九九はすぐわかる。これらの数値を桁をずらして足していき、その足し上げた数値を頭の中で記憶し続けるのが厄介なのだ。8と48を足して128、128と24を足して1,304、1,304と32を足して13,072。この部分が、頭に負担となる。そろばん経験者が頭の中にそろばんをイメージして暗算するのは、この計算途中の数値を画像として覚えるため。掛け算の暗算のポイントは、足し算と数値の記憶にあると言えよう。
 


問題は「繰り上がり」?


この足し算と記憶の部分が、8%だと難しい。桁の「繰り上がり」が多くなるからだ。例えば、16 × 8で1 × 8 = 8に桁をずらして6 × 8 = 48を足すと、8 + 4 = 12のため桁が一つ繰り上がる。この「繰り上がり」が、頭の中の数値の仮置きをややこしくする。
 
8%は「繰り上がり」が多い。8の段の九九は10の位の数値が大きくなるためだ。8 × 7 = 56、8 × 8 = 64、8 × 9 = 72。10の位が大きければ、一つ上の桁の掛け算の1の位が比較的小さい数値でも繰り上がりが発生する。
 
具体的に考えてみよう。
5%の消費税額は金額を2で割るだけで計算できて掛け算は不要なので、3%の場合と比べてみる。1〜100に3を掛けて「繰り上がり」が発生するのは、34〜39、67〜69の9パターンだけ。これに対して8の場合は、13〜19、25〜29、38〜39、63〜69、75〜79、88〜89となり、28通りにもなる。つまり、8%では3%の3倍以上も「繰り上がり」が多くなるのだ。この「繰り上がり」の多さが、頭の中での足し算と数値の記憶を難しくしていると見立てるのだが、いかがだろうか。
 
消費税増税直後の虚構新聞に、消費税率を8%にした理由が「九九(掛け算)の8の段の計算力が弱い」からだという嘘ニュースがあった。税額の計算が難しいと、税率アップ分の金額がわかり難く、抗議が少なくなるという理屈だ。まあ、その意図の真偽(?)は不明だが、8%が計算し難いのは間違いないと思っている(参考:「8の段、成績悪い」 消費税「8」の理由、文科省関与|虚構新聞)。
 


アバウトに行こう!


ここで、ふと考えてしまうのが、なぜ消費税額の計算をするのかということ。税抜きと税込みの両方の価格が表示されていることが多いし、そうでなくてもどうせ取られるものは取られるのだから、一所懸命になって計算しても利が少ない。
 
消費税額を計算する目的は、大体の価格が知りたいからだろう。税込みの価格を厳密に計算したいシチュエーションも中にはあるだろうが、多くの人にとって多くの場合、アバウトな消費税額がわかれば充分だ。それなら、何もややこしい8の段の掛け算をする必要はない。取りあえず10%で計算して、それを目安にしても問題ないことになる。
 
ついつい習慣で正確な消費税額を求めようとしてしまうが、そこにあまり価値はない。そこにあるのは、費用対効果の悪い過剰な精度となる。そしてそれならば、多少アバウトでも楽な計算で済ました方が良いことになる。こういう行動は習慣なので変えるのは難しいが、消費税額をアバウトに計算することを心掛けてみたらいかがだろうか。うまく実現できれば、買い物時のストレスが多少は減るように思っている。

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