家計調査を細かく見ると・・・


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1897文字)


先日、2014年6月の家計調査の結果が発表になった。実質消費支出が前年同月比で3.0%の減少。参考にした記事には「消費増税に伴う消費の駆け込み反動減が和らぎつつある」とあるが、その解釈は人によってわかれるところだろう(参考:6月の実質消費支出、3.0%減少 家計調査|日本経済新聞)。
 
この消費支出の減少で気になるのが「何が減ったのか」、「何が減ってないのか」。すべての支出がどれも3%ずつ減っている訳はなく、その増減幅には濃淡があると考えられるからだ。費目別の増減については記事でも少し触れているが、トピックスを拾っているので網羅性がない。そこで、元データを使って「何が減ったのか」、「何が減ってないのか」を調べてみた。
 

家計

credit: USDAgov via FindCC

 


「まぐろ、あじ、いわし、・・・」のレベルまで


家計調査は、「国民生活における家計収支の実態を把握し,国の経済政策・社会政策の立案のための基礎資料を提供することを目的」としており、かなり大掛かりな調査となっている。全国の約9,000世帯に詳細な家計簿をつけてもらい、それを集計しているのだ。この集計での支出の分類は、「食料、住居、光熱・水道、・・・」の大分類、「穀類、魚介類、肉類、・・・」の中分類に留まらず、「米、食パン、他のパン、生うどん・そば、乾うどん・そば、スパゲッティ、・・・」、「まぐろ、あじ、いわし、・・・」のレベルの細目に及ぶ。つまり、家計調査は、消費支出のうち、まぐろが減ったのか、あじが減ったのかまで詳細にわかる調査なのだ(この分類について詳しく知りたい人は家計調査 収支項目分類一覧 (平成22年1月改定)を参照のこと)。
 
これらのデータは、総務省統計局の家計調査のページからダウンロードが可能になっている(一部のデータは政府の総合窓口「e-stat」経由)。今回は、「全国」の「二人以上の世帯」のデータを使用した。「2014年6月」と「2013年6月」の比較を、消費者物価指数を考慮しない「名目」で行なっている。
 


大分類、中分類での増減率は・・・


さて、まずは大分類での増減率を見てみよう。

家計調査 2014年6月前年同月比

支出が増えているのは、増加率が大きい順に住居、光熱・水道、交通・通信。一方で、保健医療が大きく減っている。
 
次に、中分類で増減率の大きい各10分類を見ると以下のようになる。

家計調査 2014年6月前年同月比

 

家計調査 2014年6月前年同月比

増加している項目では、大きく伸びた設備修繕・維持と通信が共に1万円を超える支出額であり、全体の消費支出に大きく影響を与えている可能性が高い。
 


「よくわからない」も知見のうち


さて、ここまでデータを見てきて気付くのは、データが思ったより安定していないということだ。消費増税の影響で支出が抑えられる中、「住宅」の出費が、その中でも特に「設備修繕・維持」の出費が増えているのは何とも不自然。普通に考えれば、増税前に出費した方が得な支出分類のように思われる。
 
そこで、「設備修繕・維持」の細目や主要都市別のデータを見てみると、この支出はバラツキが極めて大きいことがわかる。少し考えてみれば当たり前だが、「住宅」関連の支出は「食料」関連のそれと較べてバラバラなのだ。要は、数少ない例外的な大きな出費の影響を受け易い。「安定していない」と書いたのはそういう訳だ。
 
「何が減ったのか」、「何が減ってないのか」を知ろうと詳しいデータを見たが、どうやら家計調査のデータは月単位で見るのはかなり厳しいようだ。何が減って何が減ってないのかの詳細は、このデータからはよくわからない。
 
データを見るとき、細かく見れば見るほど良いと思っている人が多いようだが、そうとは限らない。それぞれのデータにあった細かさというものがある。今回の例で言えば、家計調査の月単位のデータは、その中身を見るにはブレが大きいということだ。データは、細かく見るより、適度な見方をすることが大切になる。
 
せっかくデータを見たのだから、何か具体的な知見を得たくなるのは人情だが、無理をしても碌なことはない。いろいろな解釈を加えてデータを意味付けることはできても、それをやっては「過ぎて」しまう。データを見るときには、結果的に「よくわからない」も充分な知見と考えるような真摯さが重要になる。「もったいない」は禁物だ。

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