スマートフォンなんていらない!


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1886文字)


電話のできるタブレットがはやっているらしい。
「画面サイズ7インチ以上のタブレットで携帯電話の機能のある製品が、日本を除くアジア太平洋(APeJ)地域で伸びて」いて、2014年4〜6月期には350万台売れたという。タブレット総売上台数の25%に達しているというのだから、なかなかの勢いだ(参考:タブレットで電話もする、がアジア途上国市場でビッグなトレンドに…携帯/スマホは邪魔者|TechCrunch)。
 
画面サイズ7インチといえば、Nexus7やiPad Miniのサイズ。「以上」とあるので、これより大きい製品でも電話ができるタブレットがあるのだろう。対応しているのは、「そのすべてが、Android機」とのこと。Android陣営に限れば、電話付き比率は25%よりも更に高いことになる。
 
このニュース、ちょっと目を引くものの驚きはまったくない。メーカーやマーケットが、やっと消費者ニーズに向き合ったという印象だ。このタイミングで書けば後知恵の誹りを免れないだろうが、スマートフォンとタブレットの融合は極めて自然な成り行きのように思われる。
 

タブレット

credit: ebayink via FindCC

 


人は、スマートフォンやタブレットがもたらすベネフィットを買っている


ここ数年、スマートフォンとタブレットがよく売れているが、そもそもこれらのツール自体を求めるニーズがある訳ではない。そこにあるニーズは、「いつでもどこでも電話をしたい/インターネットを使いたい」といったところだろう。更に掘り下げれば、ニーズは「人と連絡を取りたい」、「いろいろな情報を調べたい」となるが、今回考える限り「電話をしたい/インターネットを使いたい」のレベルで充分だと考えられる。
 
つまりは、レオ・マックギブナが考え出し、セオドア・レビットが広めた「ドリルと穴」の関係だ。「人は製品を買うのではない。製品がもたらすベネフィットに対する期待を買うのである。〔略〕四分の一インチの穴を買うのであって、四分の一インチのドリルを買うのではない。」(『レビットのマーケティング思考法』セオドア・レビット/ダイヤモンド社)ということ。人は、スマートフォンやタブレット自体ではなく、それらがもたらすベネフィット(便益、恩恵)を買っている。
 
言い換えれば、いま売れているからといってスマートフォンやタブレット自体にニーズがあると勘違いしていると、おっちょこちょいなことになる。製品自体に注目して、同じ製品カテゴリーを維持したまま無理矢理な機能強化を繰り返すことになるのだ。元々のニーズとはかけ離れた余分な機能ばかり組み込んで面妖な代物をつくってしまうのは、ニーズではなく製品に注目しているから。目に見えるモノの方がわかりやすいからといって、これをしていては成功を導けない。
 


まったく新しいコンセプトの製品に期待!


スマートフォンやタブレットではなく、「電話をしたい/インターネットを使いたい」というニーズがあると考えれば、それらを同時に満たす製品を考えるのは自然な成り行きだ。スマートフォンとタブレットの違いは、電話機能の有無と画面の大きさだけ。電話は小さい方が使い易いが、インターネットは画面が大きい方が使い易い。そして、電話機能よりもインターネット機能を優先する傾向は強くなっている。既存の製品カテゴリーにこだわらなければ、電話機能の付いたタブレットに行き着くのは時間の問題でしかない。
 
9月にも発表されると言われているiPhone 6は、画面が大きくなるという噂だ。真偽が定かではないとはいえ、画面の大きいスマートフォン。Android陣営の後追いとはなるが、これは別方向からのアプローチといえるだろう。
 
ただし、現在のアプローチで「電話をしたい/インターネットを使いたい」というニーズを足したり引いたりしても、大きな変化は訪れない。スマートウォッチやスマートグラスも似たような文脈に留まっているようだ。もっと新たなニーズを見付け出して、それを満たす新コンセプトを考えれば、イノベーションともなろう。もちろん、それがすぐ思い付くようなものでないのは間違いないが、そろそろスマートフォンとタブレットは成熟してきている。まったく新しいコンセプトの製品の登場に期待したいところだ。

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