データ活用にもマーケットイン発想を!


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2049文字)


マーケティングに、プロダクトアウト、マーケットインという二つの考え方がある。ザクッと言えば、プロダクトアウトは「つくれるものを売る」アプローチ、マーケットインは「売れるものをつくる」アプローチ。前者を供給側(企業)中心の考え方、後者を需要側(消費者)中心の考え方と捉えることもできるだろう。企業が持つシーズ(ビジネスの種)を起点とするプロダクトアウトに対して、マーケットインは消費者が持つニーズ(欠乏感)を起点とする。当然ながら、マーケティングにおいてはマーケットインをオススメすることが多い。
 
ただし、この二つの考え方は、常にいずれか一方が正しいという性格のものではない。市場を取り巻く環境によって各アプローチの成功率は変化するので、両者をうまく使いわけることが求められる。現実には、プロダクトアウトとマーケットインをミックスしたようなアプローチとなることがほとんどだ。それぞれの特徴を理解した上で、プロダクトアウトが行き過ぎたらマーケットインの視点で見直し、マーケットインの視点が行き過ぎたらプロダクトアウトの視点で見直す。どちらが有効化を議論するより、両者を補完的に扱うのが成功への近道だと思われる。
 

成功

credit: FlashBuddy via FindCC

 
これらの考え方はデータ活用にも応用できる。データ活用においても、同じように二つの立場で考えることが有効なのだ。「つくれるデータを活用する」プロダクトアウト発想のアプローチと、「活用できるデータをつくる」マーケットイン発想のアプローチ。データ活用の作業の流れを考えたとき、その上流と下流のどちらをスタート地点とするかは、シーズとニーズの関係に近いと言えよう。そしてデータ活用は、プロダクトアウトとマーケットインの特徴を踏まえてうまく使いわけることで、より強力なツールになる。
 


データ活用のプロダクトアウト、マーケットイン


データ活用を目指すとき、手持ちのデータをうまく加工しようと考える人は多いだろう。日次の売上、商品別の売上構成比、営業担当者別の成約数、・・・。既にデータがあるなら、それを活用できるにこしたことはないし、データを何もせず放っておくよりも有用なのは間違いない。
 
ただし、既存のデータを起点にすると、「今ある範囲」でしかモノを考えられないという問題が生じる。どのようなデータ活用が必要なのかを深く考えずに、目の前のデータを見たり、組み合わせて指標をつくったりしてしまうのだ。データ活用のそもそもの目的から少しずれていても、それで満足してしまうことが多い。既に持っているデータを起点にしたプロダクトアウトのアプローチでは、本当に役立つデータが得られるとは限らない。
 
そこで、どのようななデータ活用がしたいのかを起点とするアプローチが必要になる。事前にデータ活用の目的を明確にして、それに役立つデータを考えて、それに適したデータを取得するのだ。もちろん、データがないことにはそれなりの理由があることも多い。いくらコストを掛けても不正確で活用に耐えられないデータしか手に入らないこともある。この意味で、何が何でもマーケットインがいいとは言い切れないが、そこにデータがあるからといって、それをそのまま使っているようでは、なかなか有効なデータ活用はできない。ときには、データ活用の目的を明確にして、それに見合ったデータをつくり出す必要があるのだ。
 


ビッグデータはプロダクトアウト?


ビッグデータの話題に、プロダクトアウト発想のデータ活用を感じることが多い。企業に自然に溜まったデータをどうにか活用しようという発想だ。もちろん、その作業の途中でデータ活用の目的を設定できれば良いが、ただただデータをいじっているようなアプローチも見受けられる。
 
ビッグデータの活用推進の場合、ソフトウェア会社やハードウェア会社の営業と連動していることも多く、プロダクトアウト発想に拍車を掛ける。つまり、データが起点にあるだけでなく、特定のハードやソフトを使うことが前提だったりするのだ。このような、目的と手段を取り違えたアプローチでデータ活用をしては、混乱を招くだけだろう。
 
データ活用は役に立つ。
しかし、そのためには活用の主体となる側が目的を明確にしなくてはならない。プロダクトアウト発想でデータ活用を目指す輩をコントロールしなくてはいけないのだ。
 
やはり、データ活用も利用者側の目的を起点としたマーケットイン発想のほうがオススメとなる。ときどき、プロダクトアウト発想に陥ってないか見直すだけでも効果はあるだろう。ぜひ、プロダクトアウト、マーケットインを意識して、データ活用にあたってもらいたいものだ。

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