「継続的な構造変化」をキーワードに!


この記事の所要時間: 350秒 〜 450秒程度(2127文字)


日々たくさんの記事に触れていると、時折、何とも気になる言葉に出くわすことがある。今回のタイトルに入れた「継続的な構造変化」は、正にそんな言葉の一つだ。
 
この言葉を目にしたのは、JBpressに掲載された英フィナンシャル・タイムズ紙のジャクソンホール会議、議論は雇用懸念に終始という記事。ジャネット・イエレン米連邦準備理事会議長の「この(雇用)ギャップの大きさについての判断は、労働市場の構造の継続的な変化によって難しくなっている」という発言の中に登場した。ここでは、「構造の継続的な変化」を「継続的な構造変化」と書き換えたが、意味に大きな違いはないだろう。元の英語の記事では、ongoing shifts in the structureとなっている。
 
引っ掛かったのは、「構造」と「継続的」の組み合わせ。自分の中では、「構造」の変化は法改正などをきっかけに短期間で急激に起きるイメージがあり、このイメージと矛盾する「継続的な構造変化」が印象に残った訳だ。もちろん、よく考えると「継続的な構造変化」はどこかしこにあり、なかなか気づき難いだけ。そしてだからこそ、「継続的な構造変化」という言葉を自覚して考えることが、企業のビジネスの変革などにあたり有効になるように思われる。
 

structural

credit: geralt via FindCC

 


構造変化は継続的


記事は、労働市場の構造変化の問題について書かれている。失業率が上下したとして、その背景にある労働市場の構造が変化してきているため、数値の解釈が難しくなってしまったという話だ。
 
何をもって構造変化とするかは決められないが、一企業や一個人ではあがない難いほどの大きな潮流で、元に戻すことが難しい不可逆的な変化をイメージする人が多いのではないだろうか。日本の少子高齢化、企業の海外進出増加なども構造変化と言っていいだろう。ただ単に、「子どもが減っている」、「企業の海外進出が増えている」ではなく、その根っことなる社会の構造が変わっていると考えられる変化のこと。言い換えれば、「子どもが減っている」等は結果であり、その原因となる構造の変化があるということだ。
 
冒頭にも書いた通り、法改正などによって起きる構造変化は気づき易い。一方で、それ以外の徐々に起きる社会の構造変化というのは捉え難い。このため、あるとき何らかのきっかけで注目を集めて、まるで急に変化したように感じることがある。しかし、当然ながら社会構造の変化というのは日々少しずつ継続的に起きている。当たり前でありながら気づき難いことであり、これに気づかせる「継続的な構造変化」はなかなかうまいラベルのように思われる。
 


変化への企業の対応は断続的


企業は、これらの変化に対応していく必要がある。世の中の変化に合わせられない企業は、自然と淘汰されていくことになるからだ。逆張りの発想で、世の中の変化に対応しない人たちをターゲットにする商売はあるが、あくまで限定的だろう。
 
ただし、企業の対応は断続的になることが多い。企業の仕組みとして、日々の構造変化は難しいからだ。あるマーケットが拡大していることに気づきいたら、そのマーケットに関連する事業に従事する人員を徐々に増やすことはできる。しかし、構造的な変化に対しては組織再編のようなものが必要になり、これは恒常的に行なうことはできない。数年に一度がせいぜいだろう。このズレが企業の苦しみを生むことになるのだ。
 


「継続的な構造変化」への対応にはリサーチと自覚が欠かせない


世の中の構造変化は加速しているように感じられる。「継続的な構造変化」が起きる分野は続々と増えている印象だ。これに対応するために、企業は変わるしかない。ところが、継続的な変化には気づき難く、それに対応できずにジリジリと状況が悪化することがほとんどとなる。
 
この「継続的な構造変化」をチェックするのが定期的なリサーチということになる。自分たちが着目する市場の変化を捉える数値を見付け出し、それ時系列で追うことで変化を見極めるわけだ。人口の高齢化が進んでいることは誰でも知っているだろう。ところが、高齢人口が実際に何%で、その値がどう動いているかまで知っている人は少ない。これを知っているだけでもアドバンテージなるだろう。その値に25%、30%などのアラートを仕掛け、自社の動くきっかけをつくっておけば、素早い動きの促進剤となる。
 
そして、もう一つ大切なのが「継続的な構造変化」の存在を自覚することだ。この「日々変わっているけど、昨日と今日の違いは小さいので、なかなか気付かない変化」は大きな問題なのだが、ラベルが無いためにまとめて考え難い。そこで、これに「継続的な構造変化」とラベリングすれば、少しはこのことを自覚し易くなる。「継続的な構造変化」を自覚することで、ちょっと変わってみたらいかがだろうか。

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