Microsoft Officeのターゲットは誰なのか?


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1915文字)


最近のMicrosoft Officeは使い難い。
直感で言ってしまえば、何をするにも以前より手間が掛かるようになった。旧バージョンに対する「慣れ」を差し引いても、だんだん不便になっているように思えてならない。
 
自分の見立てでは、初心者でも使い易くするために熟練者の使い勝手が悪くなっている状態。パソコン利用者の裾野が広がる中、その新しいユーザーばかりをターゲットにすることで、これまで長く使っているユーザーに不便を強いている。ビジネスマンのデファクトスタンダードであるMicrosoft Officeが使い難くなれば、Officeの操作に熟練している人たちの生産性が大きく下がるのは必至。初心者をターゲットにするのも一つの戦略とはいえ、古くからのユーザーとしては何とも困ったものだ。
 

target marketing

credit: Thomas Hawk via FindCC

 


GmailとInboxのターゲット


さて、TechCrunchに掲載されたGmailとInboxについての記事がおもしろい(参考:GoogleがGmailとInboxを分けた理由)。公開されたばかりなので知らない人も多いだろうが、InboxはGoogleが新しく発表したメールアプリ。Gmailと較べて、かなりハードユーザー向けの仕様となっている。記事ではInbox開発までの経緯を追っているのだが、これがとても興味深いのだ。
 
Inbox開発の経緯を整理すると、次のようになる。
 ①Gmailチームが、多くの高度な機能を「削除」したGmailを開発。
 ②Google社員の評価は厳しく、至るところで「機能低下を否定」される状態に。
 ③チームは「データで反論」したものの、Google社員の怒りは収まらず大混乱。
 ④Gmailを一般ユーザー向けとし、ハードユーザー向けのInboxを開発することに。
 
ここで大切なのは、「典型的Google社員は1日平均450通のメール」を処理しているのに対して、「典型的Gmailユーザーは1日に5通ほどしかメール」を受け取っていないという違い。新しいGmailをテストしたGoogle社員は決して一般的なユーザーとは言えず、そのために不必要な騒動が起こった訳だ。ここから学べるのは、テストユーザーの選択を間違ってはならないということだろうか。社内やその周辺の人たちは、商品についての知識、思い入れ、そして使い方が一般の人とあまりに違うため、おかしなテスト結果を出すことがある。
 
Googleの判断は素晴らしかった。一般的なユーザーとハードユーザーでアプリの使用方法、使用目的が違うことを認識して、2つのアプリを提供するようにしたのだから上出来だ。初心者ばかりをターゲットにしたMicrosoft Officeとは大違いと言えよう。
 


データ分析者はMicrosoft Officeを選ぶ?


もちろん、何でも複数のアプリをつくればいいというものではない。基本機能が同じアプリについて、利用者のレベル毎にいくつものタイプをつくって混乱した事例は数多い。しかしそれでも、アプリケーションのターゲットをどのレベルのユーザーとするかは大きな問題だ。
 
データ活用が今より盛んなれば、上級のユーザーと末端のユーザーをつなぐ、中間的なデータ分析者がとても重要になる。この分析者が使うアプリの選択肢には、Officeも当然入ってくるだろう。そうなると、彼ら彼女らがMicrosoft Officeを好むか好まないかは、とても大きな分岐点だ。今のままのポジショニングでは、Officeを選ばない人が増えるように思えてならない。
 


常にターゲットを意識して・・・


レベルでのターゲッティングはとても大切だ。アプリケーションの開発は他人事かも知れないが、ホームページのデザインなどでも同じこと。初めて訪れるユーザーに優しいページと、毎日使っているユーザーに便利なページはまったく違う。ここを意識してコントロールしないと、思わぬ不評を買うことになる。
 
正解があるものではないが、ここのさじ加減を間違えると一大事だ。常にターゲットのレベルを意識して、トライアルアンドエラーすることが大切ではないだろうか。そして、Microsoft Officeは熟練者向けのオプションを充実させた方がいいだろう。今なら、まだ間に合う筈だ。

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