「スマート印鑑」は売れるのか?


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1701文字)


今度はスマート印鑑だそうだ。謳い文句は「持ち運びに便利な世界最薄0.34mmの携帯印鑑」。何せ、印鑑なのに本体(?)がないのだから画期的だ。本日より、東急ハンズなどで発売開始になっている。
 
さて、この「スマート印鑑」。かなりキャッチーな商品だが、「売れると思うか?」と問われると困ってしまう。正直に言えば、よくわからない。商品の持つポテンシャルの高さはわかるものの、これを利用してまで押印が必要な場面が思い浮かばないからだ。
 

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印影を指で強く押すだけで押印完了!


スマート印鑑は、WEBサイト制作などを手掛ける株式会社アンディが開発した商品。ゴルフボールへのマーク付けに使われている新世代転写技術を、印鑑に応用したらしい。テレビや新聞でも紹介されているので、ご存じの方も多いだろう。
 

※画像はスマート印鑑ホームページからキャプチャー

※画像はスマート印鑑ホームページからキャプチャー

 
使い方は簡単で、シート状になっている印影を1つずつ切り離し、押印したい部分に合わせて、後は指で強く押すだけ。これで押印完了となる。シールと違って、押印した紙に転写インクが密着するので、剥がれたり、消えたりする心配もない。まさにスマートに押印を「真似できる」訳だ。
 
普通の印鑑と同じような印影をつくることができるのに、財布や手帳に入れて常に持ち歩くことができる薄さ。急に印鑑が必要になったとき、便利なのは間違いない。
 


どうしても印鑑が必要な場面は・・・


問題は、どうしても印鑑が必要になる場面があまりないことだろう。多くのカジュアルなシーンでは、サインで代用可能になっている。最初から署名を求められることも多い。自分に限って言えば、印鑑を持ち合わせず困った経験は、数年単位で記憶にない。
 
公的機関の書類などでは、絶対に印鑑でなくてはならないものもある。しかし、そういうシチュエーションで印鑑を忘れることは少ない筈。また、印鑑が必須の場所で、スマート印鑑を使って何か言われたら厄介だ。ホームページによると「押印調査198回、押印受理率97.4%」らしいが、あえて使うかどうかはまた別の話。近くに商店がある環境なら、文房具屋や100円ショップで三文判を調達する人が多いのではないだろうか。
 
自分の場合、ものは試しで話題づくりにちょっと買ってみようかと思ったが、取扱店についでがあったらという感じ。人前で印鑑を使うことが少ないので、ちょっとしたネタにもならないような気がする。スマート印鑑をわざわざ買いに行こうとはならないので、そのうち忘れてしまいそうだ。
 


商品コンセプトの応用に期待するのもひとつの道


狙いをつけるなら、人の「損をしたくない」という心理だろうか。印鑑を持っていないことで、失敗したり、不利益を被ったりする可能性を強調するのだ。行動経済学にあたるまでもなく、人は万が一の損害をその発生確率以上に恐れる。転ばぬ先の杖といえば聞こえはいいが、言い換えればある種のバイアスだ。まず使わないモノを毎日持ち歩いたりする人は結構多い。この心理をうまくキャッチできれば、ニーズは広がるかも知れない。
 
また、メディアにたくさん露出したことで、商品の応用した使い方を思い付く個人や企業があわられる期待はある。まずは、「自分はこう使いました」の類、そして「紙に画像を転写できるなら、こんなふうに使えるのでは」というアイデア。これらをうまく集める仕組みをつくれば、その応用範囲が一気に拡大することも考えられる。
 
スマート印鑑の着想の良さは間違いない。しかし、印鑑自体の使用場面が減っているという大きなマイナス要因がある。こればかりは一社の力ではどうにもならない。それ故、今回の商品自体にこだわらず、商品コンセプトの応用に期待するのもひとつの道となる。外野から評論家的にあれこれ言っても仕方ないが、その成功に期待したいところだ。

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