新成人5万人増加の意味するところは?


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週明け1月12日は成人の日。この1年間で20歳になった「新成人」は126万人で、前年と較べて5万人多い。新成人の増加は、実に21年ぶりのことだという。
 
参考:統計トピックスNo.85 「未(ひつじ)年生まれ」と「新成人」の人口-平成27年 新年にちなんで- (「人口推計」から)|総務省統計局
 
さて、この21年ぶりの「新成人」増加。人口について久しぶりに耳にするのプラスの話題のようだが、自分が知っている人口動態の現状とはどうも合わない。では、この変化にどのような意味があるのだろうか。
 

 


新成人増加はたまたま


「新成人」の人口は、第2次ベビーブーム世代の昭和48年(1973年)生まれが20歳を迎えた平成6年(1994年)に207万人を記録して以来、減少が続いていた。そして、昨年(2014年)が121万人。20年の歳月を経たとはいえ、数にして80万人以上、比率にして4割強も減ったのだから、新成人はかなり明確な減少傾向にあると言っていいだろう。
 
それが、2015年は増加となった。大きな転換点と意味付けたいが、そうではない。来年(2016年)の新成人予想は119万人と、一気に7万人の減少となる。新成人増加は1年限りのことなのだ。今後の人口予想を見ると、新成人人口は多少の増減はあるものの大きくは減少傾向が続き、2025年には106万人になる。出生数が減っているのだから当たり前だが、新成人は減り続けるのだ。2015年は、今から21年前の1994年に、たまたま出生数が123.8万人と多かったため、このような結果となったに過ぎない。
 


新成人は21年前の出生数より多い!?


さて、上で紹介したデータに少しおかしく感じるところはないだろうか。21年前の出生数が123.8万人、新成人の人口が126万人。新成人の方が21年前の出生数より多いのだ。突然、20歳の人は生まれないので、不思議な感じがするもいるだろう。
 
実は、このズレは人数の数え方の違いによるもの。出生数は厚生労働省の『人口動態調査』を元にしているので「日本における日本人についてまとめたもの」。これに対して新成人は、(特に明記はないようだが)人数からして外国人を含めた総人口。この違いによってちょっとおかしなことが起きているように見えるのだ。データを見るときには、こういう細かな定義にも注意が必要となる。
 
更に言えば、2015年の「新成人」とは2014年1月〜12月に20歳を迎えた人数のこと(推計値)。成人式の対象となる、「前年の成人式以降20歳を迎えた人」や「学齢で20歳の人」とは、期間の違った集計人数となる。新成人の人数ひとつをとっても、いろいろな数値があり得るのだ。
 


データに惑わされないために・・・


今年の「新成人」が126万人となり、前年を大きく上回ったのは間違いない事実だ。しかし、それはたまたまの出来事で、そこに過剰な意味を見出そうとするとおかしなことになる。今回の「新成人」増加は、長期的な傾向を見る上ではあまり役に立たない「誤差のようなもの」と言っていいだろう。
 
データを見るときは、その大きな傾向や定義に注意する必要がある。そのための取っておきの方法はないが、数値の意味を自分で考える習慣を付けることが一番だろう。過失か故意かは別にして、データについての誤った意味付けはあまりに多い。他人のつくったデータを信用するなとは言わないが、重要なデータについては自分で確かめる必要がある。最近、データ活用に関する話題が賑やかだが、他人の手のひらで踊らされているような話も多い。データは動かない数値だからこそ、その意味付けに慎重になる態度が必要だ。

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