高齢者はクレーマー? データの見方に要注意!


この記事の所要時間: 240秒 〜 340秒程度(1563文字)


日経電子版に掲載された「お客様は神様」じゃない 猛威振るう反社会的消費者という記事が一部で話題になっている。「コンビニ土下座事件」などの顧客トラブルを受けたもので、顧客との関係見直しを提案する内容だ。顧客との関係は商売を行なう上で最も大切なものでありながら、相手があることもあって一筋縄では行かないもの。見直しの方向性や手段は別にして、これを機会に顧客との関係を再考するのは悪くない取り組みだろう。
 
さて、この記事の中に「問い合わせの多くは60代以上」と題したグラフが掲載されており、「企業に電話で問い合わせをする人の35.8%は60代以上で他の世代よりも圧倒的に多い」とある。記事のトーンは、まるで高齢者にクレーマーが多いようなニュアンスだ。だが、果たして本当にそうだろうか。そもそもの人口構成比を無視しているのが気になってならない。
 

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credit: EJP Photo via FindCC

 


高齢者からのクレームはむしろ少ない!?


記事の中にあったコールセンター利用経験者と平成25年(2013年)10月1日現在の日本の総人口の構成比を比較してみた。

コールセンター利用経験者の構成比、人口構成比

 
いかがだろう。確かに60歳以上の人はコールセンター利用経験者の中で35.8%と多いが、人口に占める比率は39.6%ともっと高い。つまり、人口構成比を考え合わせれば60歳以上は相対的にコールセンター利用経験がむしろ少ないことになるのだ。この図表から見る限り、人口構成比と比べてクレームが多いのは50歳代となる。
 
上図の人口構成比の60歳以上は、100歳以上までもを含めた真の60歳以上人口なので、リアルに考えるなら上限を設けて再集計した方がいいのかも知れない。しかし、60歳から79歳で切り取っても3226.6万人。30歳代(1668.3万人)、40歳代(1807.4万人)、50歳代(1546.5万人)のそれぞれ2倍程度の人口となる。この人口構成比を考慮せず、「企業に電話で問い合わせをする人の35.8%は60代以上で他の世代よりも圧倒的に多い」とするのにはかなり違和感がある。故意か過失かはわからないが、「問い合わせの多くは60代以上」というメッセージではミスリードに成り兼ねない。
 


人口データをお手元に!


データを見るときに大切なのは、データの歪みだ。いくら60歳以上の人からのクレームが多くても、そもそも60歳以上の人口が多ければそれは当たり前のこと。今回のように人口構成比と比較するなどのアプローチをしないと、間違ったメッセージを読み取ることになる。何よりもデータの見方に注意する必要があるのだ。
 
こういう事態を避けるためにも、基本的な人口データを手元に置いておくといいだろう。人口データは多くのことに影響を及ぼすからだ。そして、いつでもインターネットから手に入るデータではあるが、いちいち検索してダウンロードするのと自分のパソコンの中にあるのでは手軽さが違う。データを利用する習慣を付けたいなら、データを身近に用意することが大切になる。
 
人口データといえば国勢調査だが、5年に1度しか実施しないのでデータが古くなってしまい勝ち。そこでオススメしたいのが各年10月1日現在人口推計となる。1年に1度の更新なのでデータはそれなりに新しいし、毎月の推計と違って1歳刻みの人口がわかるのもいい。人口データはいろいろあって迷ってしまうが、現実的には各年10月1日現在人口推計がもっとも役立つだろう。ぜひ、お手元に置き、活用してもらいたいものだ。

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